第14話 『初戦』の余韻

なんとか一か八かの配合で『銅』を打ち破ることができた。

 ガラクシアは姿を一切感じ取られずやってくれたが、ポラールはたくさんの魔王に知られてしまったから警戒しないといけないな。

 かなり魔物を失ってしまったし、罠もほとんど潰されてダンジョンも地形変わった? と思うほどボロボロだ。

 中でもソルジャー君と虎蜘蛛はかなりダメージを負っていて至急療養中だ。



「本当にありがとう2人とも」


「もっと褒めていいよマスター!」


「ありがとうございます」



 今回救ってくれたガラクシアとポラールにお礼を言う。

 どうなるか分からない配合を受け入れてくれて、俺たちを救ってくれた。

 すべての魔物が頑張ってくれたので、数日ダンジョン運営をそこそこにして休むのもいいなって思ってる。


 とりあえず爺さんに呼ばれているので行かなければいけない。



「今回の戦争の戦利品貰ってくるから留守を頼んだよ」


「はっ!」


「はーい♪」



 何が貰えるのかウキウキしつつコアルームまで行くことにした。

 









『見事な戦じゃった『大罪』よ」


「ありがとうございます」


『まずは受け取るが良い。これが基本的な魔王同士の戦争報酬じゃ』



 そう言われていくつかのアイテムを受け取る。

 戦争に勝つたびに確実に貰えるアイテムってのがあるのか。



1. 魔名『銅』

2.【20000DE】

3.【ダンジョン経験値2000】

4.【魔王スキルランダム獲得チケット】



 けっこうなラインナップだった。

 倒した魔王の魔名は奪えるのはなんとなく聞いていたけど、『銅』の力があれば魔物を全体的に強化することができるのでありがたい。



『それで何か報酬で望む物はあるかの?』


「選べる制度なのか、じゃぁ魔王について聞きたいな」


『ほう……面白い奴じゃのう』



 とりあえず気になっていたことを3つほど質問させてもらうことにした。


 まず一番気になっていたのはこの大量にいる魔王は何を目指して存在しているのかってのは答えてもらえなかった。

 それは永遠と魔王として君臨し続けて己で確かめてほしいとのことだ。



「今年から冒険者になる人間が多いってのは魔王が多いのと関係あるのか?」


『いい質問じゃな。正解はあると答えておこう』



 なるほど。

 これは大きな情報だ、もしかしたら冒険者の数に比例して魔王が生み出されるシステムが世界にはあるのかもしれない可能性が出てきたな。



「最後の質問は人型の魔王が多いのは何故なんだ?」


『ふ~む。それは我ではなくそれぞれの潜在意識から読みとられた形が魔王の姿を成すので我が関与できることではないの』



 生まれる前に俺たちは自分がどんな姿になりたいか選択する機会があったという風に考えられる回答だな。

 そうなるとそのことを一切覚えていないのは疑問だな。


 否定も肯定も曖昧……まるで試しているみたいだ。俺に力があればこの爺さんを締めて全部教えて欲しいもんだが、どうせ挑んだところで一撃で返り討ちにされるのがオチだ。


 なんとなくだが……俺の心の内も読めてるんじゃないか?



『面白い奴じゃ。またいつか話でもしようかの』


「随分お早い別れだな」


『ほっほっほ! 今後の活躍に期待しておるぞ』



 なんとなくだが……色々と分かったことがある。この爺さんについて、そして俺という存在についても…。


 何か都合でも悪くなったのか逃げるように爺さんは消えていき、俺も白い空間から自動的に転移させられてしまった。









 戻ってきてそのままコアを弄っていたらとんでもないことになっていた。



1.Aランク以上の魔物支配下記念 【ダンジョン経験値2000】

2.Sランク以上の魔物支配下記念 【5000DE】

3.SSランク以上の魔物支配下記念 【指定魔物に適したダンジョンルーム×1】

4.EXランク以上の魔物支配下記念 【指定魔物に適したダンジョンルーム×3】

5.魔物1体のLvが50を超えた記念 【2000DE】

6.魔物1体のLvが100を超えた記念 【ランクD魔物ランダム獲得チケット】

7.魔物1体のLvが150を超えた記念 【3000DE】

8.魔物1体のLvが200を超えた記念 【聖魔物『呪術の巻物』ランクD】

9.魔物1体のLvが300を超えた記念 【魔王スキルランダムチケット×1】

10.魔物1体のLvが400を超えた記念 【5000DE】

11.魔物1体のLvが500を超えた記念 【ダンジョンルーム『闘技場』】

12.魔物1体のLvが600を超えた記念 【ランクA魔物ランダム獲得チケット】

13.魔物1体のLvが700を超えた記念 【ダンジョンルーム『朽ちた街』】

14.魔物1体のLvが800を超えた記念 【便利迷宮都市セット】

15.魔物1体のLvが900を超えた記念 【魔名カード『聖獣』ランクS】

16.魔物1体のLvが999になった記念 【配合回数+1習得チケット】

17.初めての超変異記念 【8000DE】




 ちょっと受け止め切れないけど凄い内容だから1つ1つ整理していこう。

 とりあえずすぐ使える物を上から使っていくことにする。



「まずは【ランクD魔物ランダム獲得チケット】だな」



 【指定魔物に適したダンジョンルーム】はまた皆で決めるとしてまずはさっそくの戦力補強に入る。

 いくらガラクシアとポラールがぶっ壊れ性能だからと言って、それに甘えていてはやられるのがこの世界だと思う。

 ランクの差は様々な要素で逆転できるのは今回の戦争で理解できた。最終的にはランクEXの2人のおかげになったんだけども…。


 いつも通りの眩しい演出が入り、魔法陣から出てきたのは真っ赤なデカい蜥蜴だった。



 【フレイムリザード】 爬虫族 ランクD 真名 無し 使用DE200

 ステータス 体力 C  物理攻 F  物理防 C

       魔力 B  敏捷 C  幸運 E

アビリティ ・火精霊の加護 C

      ・環境適応 D

      ・気配殺し D

スキル  ・火炎放射 C

     ・毒攻撃 E



 『銅』との戦争に出ていてくれれば確実に大活躍できたであろう魔物が仲間になってくれた。

 『銅』に対して火の魔物が居てくれたらと何度考えたことか。

 本人はのんびり屋さんなのか欠伸をしながらボーっとしている。



「俺はソウイチ。これからよろしく頼むぞ」


「ウキャァァーー」



 ザラザラした鱗だけど撫でてあげると気持ちよさそうにしているフレイムリザード、ほんのりと温かいので撫でているとほっこりした気持ちになってくる。


 そして【ランクA魔物ランダム獲得チケット】のほうもタッチする。

 これは二度と手に入らないかもしれないくらい貴重なものだ。

 Aランクを無償で手に入れるなんて普通は考えられないし、ガラクシアとポラールが居てくれるけど、このチケットは戦力をかなり左右しそうだ。

 個人的にはもう一体会話でコミュニケーションが取れる魔物がほしいところだな。


 同じような演出が入り魔法陣が現れる。

 桃色の大きな花が咲き、その中から出てくる頭に花を咲かせた女の子。



【豊穣のアウラウネ】 精霊族 ランクA 真名 無し 使用DE1800

 ステータス 体力 C  物理攻 C  物理防 B

       魔力 S  敏捷 C  幸運 S

アビリティ ・大地の恵み S

      ・魔力喰らい B

      ・緑の声 A

      ・豊穣花粉 S

スキル  ・回復魔法 B

     ・土魔法 A

     ・花魔法 A

     ・結界魔法 C

アウラウネ+ランクB以上の自然系魔名

 

 ・通常のアウラウネよりもさらに支援型となった魔物。回復魔法と結界魔法が使えるようになったので後衛として最適である。

 ・1匹いればダンジョンの自然は素晴らしい状態で管理されること間違いなしの魔物。




 これはありがたい。

 回復魔法を使えるし、まさに不足していた果樹園を任せられる魔物だ。

 ステータスは低いけれど後衛に特化していて補助で使用できる魔法が多いので全体の生存率を高めることができる。



「こんにちはマスター。さっそく面白そうな場所がこのダンジョンにあるわね」


「あぁ、もし良かったら任せたいんだけど」


「願っても無い話ですわ。さっそく様子を見に行ってきます」



 足下に咲いていた大きい花から茨が伸びてゆったりと移動していくアウラウネ。

 これで果樹園は上手く運営することができるし大助かりだ。


 続いては爺さんからも貰った魔王スキルを獲得できるチケットを2つタッチする。

 どんなスキルがあるのか想像できないので戦争に役立ってくれるようなスキルだと助かるんだけどな。



 魔王スキル:『強靭な肉体』

   ランクC

 とても丈夫な体になる。物理防御が上昇し、病に侵される可能性が激減する。



 魔王スキル:『節約上手』

   ランクB

 使用するDEを5%減らすことができる。



 便利なスキルが2つほど手に入ったな。

 ダンジョンルームはしっかり整備できてから増やしていくことにして配合回数が月に2回になったのは大きい。

 これで今月はまだ2回配合ができるので、ガラクシアとポラールほど革命が起きなくてもやっていくのが良いだろう。


 魔物を総動員してダンジョンの補強と負傷した魔物の治療に当たった。

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