第8話 『詫品』の喜び
『罪の牢獄』に戻ってきた俺は、ガラクシアが洗脳した冒険者4人に人間界で呼び込みをしてもらうためにガラクシアに頼んでダンジョン入口から人の住む街に行くように指示を出させた。
2人で外の世界で大盛り上がりにならないように自然と噂を流してほしいと頼んだらどこかの街へ飛んで行ってくれた。
さすがに2人なら大抵のやつなら苦戦もしないはずだ。
とりあえず実績が解放されていないかどうか確認するためにコアを確認してみる。
予想通りにコアにプレゼントが届いていたのでタッチしてみる。
1.ダンジョン内に50個罠を設置した記念 【1000DE】
2.ダンジョンにエリアをDEを使用して3つ追加した記念 【500DE】
3.冒険者を戦力に加えた記念 【1000DE】
4.『原初の魔王』からの詫びの品 【ランダムアイテムチケット×3】
さぁ戦争の切り札になるようなのを期待してるぞ! 爺さんの詫びの品。
さっそく【ランダムアイテムチケット×3】をタッチして使用してみる。かなりドキドキするけど、なんだか詫びの品だし良い物がでそうな気がする。
『確認:【ランダムアイテムチケット×3】を使用しますか?』
もちろん! と意気込んで画面をタッチする。
すると画面にチケットが表示されて、チケットに文字が表示された。
①【ランダムBランク魔物獲得チケット】
②【ランダムBランク魔物獲得チケット】
③【ダンジョン罠 簡易地雷×20】
さすが詫びの品だ!! これがあれば十分良い戦いが出来そうな気がする!
まずは【ランダムBランク魔物獲得チケット】の中身の確認だな。
いつものようにチケットが現れて眩しい演出が起き、魔法陣から出てきたのは凍てつく魔力を放った鳥だった。
【ブリザードイーグル】 氷鳥族 ランクB 真名 無し 使用DE1000
ステータス 体力 C 物理攻 C 物理防 A
魔力 A 敏捷 A 幸運 B
アビリティ ・凍てつくオーラ B
・氷の遣い手 B
・空の支配者 C
・気配察知 A
スキル ・氷魔法 C
・高速滑空 A
・雪嵐 B
・単独行動 B
まったく鳴き声をあげず、凛とした表情でこちらを見つめてきているブリザードイーグル。
人間3人くらいなら持てるんじゃないかってくらい大きいし、青色に輝く外見が何よりカッコいい。
素早く空中を移動できるのは戦いにおいてかなり重要になるから本当に助かる魔物を召喚出来た。
「今はお前の環境に適したエリアはないけど、いつか必ず作るからな」
そういって撫でてやる。
近づくだけで少し寒く、体も冷たいけれど撫で心地は良いし、大人しく撫でさせてくれる良い奴だ。
そして2枚目の召喚を行うために再度画面をタッチする。
ブリザードイーグルを見ていると、Bランクになると基礎能力が凄まじく高いし、試してみないと分からないが汎用性の高そうなアビリティやスキルを持っている。
確かに真名をつけるのがBランク以降っていう歴史になるのは納得する部分があるな。
同じ演出からいつものように眩しい展開になり魔法陣が展開されて、そこから現れたのは巨大な黒い蜘蛛だった。
【爆鬼蜘蛛】 昆虫族 ランクB 真名 無し 使用DE900
ステータス 体力 D 物理攻 C 物理防 C
魔力 B 敏捷 B 幸運 C
アビリティ ・爆破の達人 A
・魔力喰らい B
・気配殺し A
・昆虫指揮 C
スキル ・爆卵産み S
・危機察知 A
・自己再生 B
全長3mありそうな巨大蜘蛛。
ステータスはBランクにしては低いのかもしれないが、1つの戦術の核に出来るようなアビリティとスキルが揃っている。
この子を軸に次の戦いの戦略がなんとなく浮かび上がってくる。
考え事をしていると鬼蜘蛛がゆったりと近づいてくる。
大きくて怖いように見えるけど、味方だって思えば凄い可愛い奴だな。
気付けば鬼蜘蛛の体の上にブリザードイーグルも乗っているので仲良しでやっていけそうだな。
さぁ残り1カ月で頑張って準備しようかな!
ガチャたまんねぇーな!!
◇
『銅の魔王』との戦争まで残り10日。
ちなみにダンジョンはオープンしており、ガラクシアが洗脳してくれた冒険者4人と以前行っていた作戦が功を奏して冒険者がそこそこダンジョンに挑んでくれている。
魔物ではなくてほとんど罠で倒していたり撤退させることが出来ていて、良い感じにDEが稼げているけど、ダンジョンレベルはギリギリ戦争までに間に合いそうにない。
だが2体のBランクの魔物は俺たちに大幅な戦術を与えてくれた。
まずは爆鬼蜘蛛だ。
鬼蜘蛛の生み出す爆卵は衝撃を与えると爆発するもので、これが大量に生み出せるのだからやりたい放題爆撃魔である。
その卵を放置していると子蜘蛛が生まれてきて、その子蜘蛛も攻撃を受けると爆発するっていう恐ろしいものだ。しかも親蜘蛛に指揮されれば思い通りに子蜘蛛を動かせるので動く地雷として戦術の中心になってくれている。
魔物の死体を喰らって魔力を回復することも出来るし、危機察知と気配殺しのおかげで全然見つかることもない。
蜘蛛だけあって蜘蛛の糸も出せて敵を拘束することも出来たりと色々有効活用できる万能糸だ。
正直うちのダンジョンの核になっているところはあるので全力で守り切らなければいけない。
お次はブリザードイーグルだ。
空を素早く飛び回り氷魔法での攻撃や凍てつくオーラでデバフをばら撒き、雪嵐で敵の動きを止めることが出来る単独で大きな仕事をしてくれる子だ。
洞窟内ってのがやりにくそうだが、今は鬼蜘蛛の生んだ爆卵を糸で包んでそれを空から落とす爆撃役にもなってくれていてかなり重要な魔物だ。
単純に単体として戦闘力が高いので安心して戦場を任せられるし本当に頼りになる。
俺と言葉でコミュニケーションがとれるガラクシアとポラールが全体を上手く指揮してくれていて連携は日に日に上がっていると思う。
相手はきっと魔物の質は俺たちより上だろうけど、戦術で勝ちに行くつもりだ。
「今日来るんだっけか?」
「はい。間もなくいらっしゃるかと思います」
5日ほど前コアに『原初の魔王』からメッセージが入っており、戦争について先輩魔王がアドバイスやちょっとした援助をしてくれるとのことで楽しみにしているのだ。
「油断してると不意打ちされてしまうよ?」
後ろから殺気を感じる。
首筋に何か当てられている感じがする。
いつの間にダンジョンに転移してきて、俺たちのいる食堂まで移動してきたんだ?
「戦いは戦争ばかりじゃないってことか」
「そういうことだね」
殺気が消えて、首筋に当てられていたものも離れる。
魔王同士の争いは戦争だけじゃなくて、不意打ちだろうがなんだろうがコアを破壊したもの勝ちってことなんだな。
でも俺だってまったく用心してなかった訳じゃない。
――パキパキッ パリンッ!
「ほう! 良い身代わりだね!」
「まぁ来ることは分かってたんで」
俺のように見えていた氷の像は粉々に砕け散った。
ブリザードイーグルの氷魔法で作ってもらった身代わりである。何が凄いって氷なのに会話が出来てしまう驚き。
俺は食堂の陰に隠れていたので全部見てはいたけど、背後に来るまで全然気づけなかった。
同じく食堂に居たガラクシアとポラールも驚いている。
「Gランクしか召喚出来ないって話を聞いていたけど、しっかり王様やってるね」
「確かにGランクしか召喚出来ませんけど、だからって負けるわけには行かないですからね」
「気に入った! 私は『王虎の魔王ミルドレッド』だよ。よろしくね」
「『大罪の魔王ソウイチ』です。よろしく頼む
束ねられた白く長い髪が特徴的な獣人族型の魔王。
冒険者にいた武闘家みたいな動きやすそうな格好をしていて明るい雰囲気の方だが、放っているオーラと魔力が俺との格の違いを感じさせる。
それに後ろで控えている2足歩行で立っている3mほどの同じく武闘家のような格好をした白い虎から凄まじい存在感を感じる。
「後ろにいるのはバイフーン、私が真名を与えている相棒の1人さ」
「とんでもない存在感ですね」
「抑えているが一応Sランクの魔物なのでな」
Sランクで真名があるってことはとんでもない強さを持ってるんだろう。
きっと今の俺たちでは1匹でダンジョンを壊滅させられるほどの力があるはずだ。
ガラクシアとポラールは空気を読んでいるのか一言も発しない。
とりあえず俺たちはミルドレッドさんに席について貰い、戦争のことや様々なことに対してアドバイスを求めることにした。
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