第3話 『天星』の輝き
「忘れていました。魔王は死にましたがコアだけ残り魔物を生み続けているダンジョンで魔物のレベルを上げることができますよ。レベルが上がればステータスとスキルレベルが上がりますよ」
「もっと早く言ってくれよ」
リーナからこの言葉を聞いたのが、魔王として生まれてきて7日目だった。
予約制でコアから移動できるらしく、誰も使っていなかったGランクの魔物が出る主のいないダンジョンでサキュバスとアークエンジェルの戦闘を見ながらレベルを少しだけ上げていった。
そして今日は生まれてから9日目、明日は『原初の魔王』からお達し会があるそうでコアから会場に行けるらしいが、自分のダンジョンで映し出される映像を見るだけでも参加したことになるらしいから、参加しないつもりでいる。
【サキュバス】 悪魔族 ランクD Lv10 真名 無し 使用DE200
ステータス 体力 E 物理攻 E+1 物理防 F
魔力 B 敏捷 C 幸運 D
アビリティ ・淫魔の一族 B
・魔法耐性 D
・飛行術 D
・交渉術 C
スキル ・闇魔法 D
・淫魔法 C
・生活魔法 D+1
【アークエンジェル】 天使族 ランクC Lv8 真名 無し 使用DE350
ステータス 体力 C 物理攻 C 物理防 C
魔力 B 敏捷 C 幸運 C
アビリティ ・天使の加護 B
・武具の心得 C
・聖天使の力 C
・飛行術 C
スキル ・光魔法 C
・回復魔法 D
・剣盾技 D+1
とりあえず数日レベリングしてみた結果がこれだ。
相手がGランクだけあって数時間籠ってもこの程度だ、種族とランクごとで最大レベルと必要経験値があるらしく、この感じだと10Lv上がるうちのどこかでステータスとスキルのどれかが+1になる感じだな。
プレゼントで貰った魔物用経験値は何かあったときように大事に取ってある。
ダンジョンは一応明日のお達し会後から正式オープンをさせたいと思っており、ここ2日ほど、スケルトン&ゴブリン&一角ウサギで列を作り目立つようにウォーキング大会をダンジョン外でしたおかげで、何人かの冒険者の目についたとの報告があるので数組ほどは来てくれるだろう。
正直怖いけど、DEも1000まで減ってしまったし、食事セットもあと少しで無くなってしまうので覚悟を決めなければいけない。
とりあえず明日に備えるため、俺は休むことにした。
◇
朝起きてルーティンとなっている今日のプレゼント確認をする。
【100DE】とダンジョン運営に便利なアイテムがどれか1つが初日以外の鉄板のプレゼントだが、生きているだけで貰えるなんて儲けもんである。
今日もいつも通り感謝しながらプレゼントを受け取ろうとすると。
「ん? なんかいつもより数が多いな? お達し会やる記念か?」
コアに表示される箱のマークで点滅している数がいつもより多くて少しビックリする。
内心かなり期待を寄せながら箱のマークをタッチしてみると、いつも通り『原初の魔王』からのプレゼントだった。
1.RGNBD-Iス EU!目 【1000DE】
2.OLZーRGイBD-IC EU!K 【ソウルピック10連チケット】
3.Cランク以上の魔物を呼び出した記念 【500DE】
4.ダンジョン内に20個罠を設置した記念 【落とし穴×3】
5.魔物のLvが10を超えた記念 【500DE】
6.『魔名』ランクがBを超えた記念 【5000DE】
7.『魔名』ランクがAを超えた記念 【魔王スキルランダムチケット】
8.『魔名』ランクがSを超えた記念 【Aランク以上の魔王スキルランダムチケット】
「何からツッコメばいいんだ?」
今までまったく読めなかった左側が3から読めるようになっていること、それと3からのプレゼントが左側の内容を達成したことによるご褒美だとしたら、かなり時間差なこと。
あとは俺自身が獲得できるスキルチケットがあること!
これで『大罪』の力しかなかった俺も戦う力を獲得できるかもしれない。
そんなことを考えていると、こちらに近づいてくる3つの気配。
「おはよ~マスタ~」
「おはようございます」
「ソウイチ様、おはようございます」
「あぁ…おはよう」
サキュバスにアークエンジェル、リーナが起きてきた、せっかくリーナも来たのなら色々試すとするか。
まずは聞きださないとな。
「その顔は誕生から10日後に解放される実績ボーナスを受け取った顔ですね」
「……」
「これは規定で10日目を迎えるまで言ってはいけないものなのです」
「ならいいんだけど」
とりあえず自分のスキルを試してみたいので、画面に映っている【魔王スキルランダムチケット】をタッチして発動させる。
すると召喚チケットと同じように紙切れが出てきて光り始める。
「まぶし~~」
「すごいですね」
サキュバスとアークエンジェルが驚いたように感想はあげている。
光ったチケットは少しずつ俺に近づいてきて、俺の体の中に吸い込まれていった。
『魔王スキル:『
魔王スキル:『
ランク A
・敵対状態以外の魔物から好感度・信用をかなり得やすくなる能力
・魔物の目を自然と引き付けやすくなる能力
とりあえずツッコミを入れる前に【Aランク以上の魔王スキルランダムチケット】のほうもタッチする。
先ほどと同じようにチケットが現れて光り出し、俺の体に吸い込まれていく。
『魔王スキル:『一度っきりの神運』を獲得しました』
魔王スキル:『一度っきりの神運』
ランク S
・一度だけ奇跡のような結果を出す。発動条件はランダム、一度使用するとこのスキルは消滅する
「なかなか面白い能力だけど、戦闘では使いづらいな」
「どんなスキルだったか聞いても?」
とりあえずリーナたちに今手に入れたスキルの説明をする。
サキュバスとアークエンジェルはランクの高さに疑問を持って、リーナは良いですねと一言褒めてくれただけであった。
まぁ無償で手に入ったものだし、他に試しておきたいことやっておくか。
「じゃぁ~サキュバス!」
「どうしたのマスター?」
突然真面目な顔して声をかけたから、驚いたのかフワフワを浮いていたのがピシッとなってこちらを向いてくれる。
「突然だか、お礼になるか分からないけれど、これまでの頑張りを認めて『真名』を授けたいと思う」
「えー!! 本当に!?」
かなり勢いよく飛びついてくる。
よほど嬉しいのか羽と尻尾をパタパタと激しく動かしながら感情表現している。
「いいの? 私みたいなDランクの魔物に真名あげるなんて聞いたこと無いよ?」
「なんだかんだ真面目に頑張ってくれたし、ランクだってうちでは2番目だぞ?」
「えへへ~、大好きだよマスター!」
「これからもよろしく『ガラクシア』」
俺が名前を呼ぶと同時にガラクシアの体が輝き始める。
特に外見的な変化は無さそうだが、纏う空気も魔力量も何もかも変わったガラクシアがそこにはいた。
【サキュバス】 悪魔族 ランクD Lv10 真名 ガラクシア 使用DE200
ステータス 体力 D 物理攻 D 物理防 D
魔力 A 敏捷 B+1 幸運 C
アビリティ ・淫魔の一族 A
・魔法耐性 B
・飛行術 C
・交渉術 B
スキル ・闇魔法 C
・淫魔法 A
・生活魔法 B+1
確かにとんでもない変化だ、名前をつけるだけでこんなに全能力値が大幅に上がるだなんてな。
歴史上Bランク以上にしか付けられない理由も納得だ。
抱き着いてニヤけているガラクシアの少し背後で凄く羨ましそうな顔しているアークエンジェルの顔が見える。
可愛くてイジメたくなるが、今回は可哀想だからストレートに言うか。
俺の雰囲気を察してか、ガラクシアは何も言わずに自ら距離をとってくれた。
「アークエンジェル」
「は、はい!」
とっても期待してくれてるんだろう、少し上ずった声で反応してくる。
浮き方もぎこちないし、ソワソワしている。
「これから大変だけど一緒に来てくれるか?」
「ふぅー…、もちろんですご主人様、罪の牢獄に一生を捧げる覚悟はとうにできています」
「天使なのにジメジメした場所に居させてごめんな。これからも頼むよ『ポラール』」
「確かに日の光は欲しいところですね」
そう言って微笑みながらポラールの体が輝き始める。
ガラクシアと違い、背中に生えていた羽が2枚から4枚へと増えた。
軽鎧と武具も少し豪華なつくりの物に変わった。
【アークエンジェル】 天使族 ランクC Lv8 真名 ポラール 使用DE350
ステータス 体力 B 物理攻 B 物理防 B
魔力 A 敏捷 B 幸運 A
アビリティ ・天使の加護 A
・武具の心得 B
・聖天使の力 B
・飛行術 A
スキル ・光魔法 B
・回復魔法 B
・剣盾技 C+1
一気にステータスがぶっ飛んだ、真名をつけると1.5ランクくらい上がるような感じの上昇値だな。
これで初期に無償で付けられる分の真名はつけ終わった。
『大罪』は全部で12体つけられて、残りは月に1体ずつ真名を与えることができて、今月分の1体が残っているが、この1枠は保留だな。
「ご主人様ありがとうございます!」
「マスタ~大好き!」
少し離れた距離でリーナが痛い視線でこちらを見ている気がするが、歓喜に沸いている2体を剥がすのは少し可哀想なので、自由に甘えさせた。
そろそろお達し会とやらの準備をしないとな。
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