第7話 ダイモニオンの報告
アルテミス様。困ったことが起きました。私が担当しているネクロマンサーの少年、翔くんですが、危ないかもしれません。こちらの世界に来てから予想通り町へも行かず、冒険者にもならず、木の洞に引きこもっていたのです。
ところが昨日砂漠方面に散歩に出たところで、死にそうなおばあさんと出会いました。優しそうな女性でメイドになってもらうのに最適だと感じました。この時きちんと調べなかったのを現在激しく後悔しております。少年はおばあさんに同情し、死のキッスで使役契約を結びました。
今日12歳のメイドとしてやってきた少女はさっそく近くの木の実をカップにして、朝の白湯を出しました。どうもこれが少年を木の洞から引き出す遠大な作戦の第1歩の様子。先ほどドライアドと従魔契約を結び、1000体以上の、風魔法と弓技の達人を支配下におさめました。どうも世界征服を目指しているようです。
調べてみましたところ、この女性は森エルフの姫として350年前に生まれ、風魔導士として魔導士の最高位につき、その後錬金術を学んだ女性と判明しました。この女性もう一つ名前を持っていまして、暴風のアルケミストと呼ばれていたようです。
彼女の計画は、ネクロマンサーがアンデッド軍団を率いて世界を征服するというものです。ネクロマンサーと世界最高の魔導士にして錬金術師であるこの女性が手を組んだら、あながち不可能ではないかと思われます。しかも数百年の寿命を持つドライアド1000体以上ががすでに配下に入っています。
さらにこの女性はどうもアリスク盗賊団の団長だったようなのです。この盗賊団は世界中の貴重品を奪ったと言われていますが、一回も捕まったことがなく、現在は数世代を経てそれぞれの分野で有力者となり、莫大な財産を所有していると噂されています。
最大の銀行のキース銀行。大手の貿易商ジェビック商会。世界最大の販売業ゾルビデム商会。この3つがアリスク盗賊団の現在の姿です。
彼等のの財産を使えばひとつの国を買い取ることもできるでしょう。実際彼等は最大の帝国ン・ガイラ帝国の有力貴族になっています。
まだあるんです。この女、エルフの大長老で、エルフがこの女の味方に付くのは確実です。エルフの魔法の力を考えれば、相当強力だと思われます。
つまり大変危険な状況だと思いますが、私の立場としてはこの暴風のアルケミストに協力せざるを得ない状況です。一体どうしたらいいでしょう。私はソクラテスに続いて、また失敗するのでしょうか。
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