第7話 人事を尽くして
地球シミュレータに棚橋のIDでログインしての全磁力線のシミュレーション結果生成に6時間を費やした。
生成された約2000通りのシミュレーション結果から、3日前にフレアの噴出方向が北極方向に2度ずれるパターンを選択するのに5時間、オリジナルのシミュレーション結果との相違部分の抽出に6時間、最後に相違するパラメータをガイア指定のフォーマットに組み替えて全ての数値をチェックするのに6時間、
全ての準備を終えたときには、最初のテレビニュースから4日が経過していた。
「ガイア、太陽に向けておくるメッセージを用意した。磁場の動きをわずかに変えるだけだが、地球の公転軌道にフレアの噴出方向が重なる直前に、北極星側に2度噴出方向がずれる。フレアの予定到達時間の72時間前に送信することで、凡そ3万7千ステップの作用がドミノ倒しのように実行され効果を表す。
最後に太陽にフレアが地球を直撃したように錯覚させるためのメッセージも組み込まれている。太陽に向けて1時間後に送信して欲しい」
『メッセージ、確かに受け取った。3日後に太陽フレアにて地球生命が滅びずにまた会話できることを願っている』
「すぐに俺をタヒチに返してくれ。妻はどうしている?」
『世界中で自暴自棄になった者達による暴動が発生しており、軍隊や警察による戒厳令のような規制が始まっているが、、、タヒチの治安はそこまで悪化していない。彼女は水上コテージの中で静かに過ごしている。ただし泣きはらしてかなり落ち込んでいるようだ。今、幽体に変換して移送する』
幽体変換と移送による衝撃で、俺は意識を失った。
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