第5話 手詰まり
考えが甘かったようだ。スパコンのリソースが全く割り当てられない。
東京へ移動後すぐに『アマテラス』の太陽観測情報は入手できた。スーパーフレアの可能性の発表以来、宇宙科学研究所に情報の要請がひっきりなしにあったらしく、俺のIDにて審査らしい審査を経ずに入手することができた。
『アマテラス』の情報を、太陽フレア発生メカニズムモデルに適用し、太陽表面の磁場パラメータを作成することもできた。
いよいよ地球シミュレーターの使用許可を取って、全磁力線のシミュレーション結果生成、生成結果の解析によるフレアの噴出方向が地球を逸れるケースの選択、オリジナルのシミュレーション結果との相違部分の抽出の計算量が必要な、三大タスクにとりかかろうとしたが、、、
様々な理論に基づく太陽フレアのシミュレーション依頼が殺到しており、休暇かつ行方不明中の俺のIDでの依頼は全てリジェクトされる。ガイアに助けを求めた。
「ガイア、地球シミュレータをリモートで使用することができない。半幽体では体が透けて見えて、人前に出ることは無理だ。手詰まりだ。何かできることはないか?」
『君のIDなしでガイアが地球シミュレータを使うことができるのであれば、君に頼む必要がないことを理解してほしい。君の同僚で候補者の一人の棚橋に頼んでみたらどうか?』
「無理なことを言うな。彼は死んでも俺には協力しないと思う。彼の幼馴染で唯一の女友達で、おそらく彼の憧れの女性を娶ったのが俺なんだから」
『君がタヒチの外海の波にさらわれて行方不明の情報は彼にも入っているはずだ。半幽体で彼の前に出現し
て頼み込んでみたらどうか?異なる反応を引き出せるかも知れない』
「ううううむ、ちょっと考えさせてくれ」
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