第80話 悪役令嬢は当て馬王太子と2人で幸せになります

~魔王討伐から2年後~



「エイリーン、準備は出来た?」



「ええ、ばっちりよ」


私の返事を聞き、部屋に入ってくるお母様。




「エイリーン、とても奇麗よ!さすが私の娘ね。あなたもそう思うでしょ、アンナ」




「もちろんです、お嬢様は世界で一番奇麗です」




「ありがとう、2人とも」


そう、今日は私とカルロ様の結婚式だ。カルロ様たっての希望で、今着ているウエディングドレスも、カルロ様がデザインした。カルロ様、実はデザインの方に才能があるのかもって言うほど、素敵なドレスだ。




コンコン


「エイリーン様、そろそろ式のお時間です」




「はい、今行きます」


私はお母様にエスコートされ、お父様の待つ教会へと向かう。ちなみにアレクサンドル王国では、父親にエスコートされてチャペルを歩くのは日本と一緒。ただ、チャペルで新郎に引き渡すまでは、新郎新婦は会えない決まりになっている。




また、王族の結婚式ということもあり、両親と一部のメイド以外は、式が始まるまで私に会うことが出来ない。中々厳しい決まりになっている。




「エイリーン、来たか。本当に美しいな」




「お父様ありがとう」


私はお父様とお母様に向き直る。




「お父様、お母様、18年間大切に育てていただき、ありがとうございます。私は、カルロ様と必ず幸せになります。だから、これからも見守っていてください」




「エイリーン…」


涙ぐむお母様とお父様。


「エイリーン、幸せになるんだよ」


そう言って抱きしめてくれた。




いよいよ結婚式がスタートだ。私はお父様にエスコートされ、カルロ様の元へと向かう。周りを見渡すと、フェルナンド殿下とリリーがまず目に入った。彼らも半年後には結婚する予定。




反対の席には、1年前に結婚したエイドリアンとメルシアお姉さま。エイドリアンの腕には、生まれたばかりのアランもいる。2人の子供だ。




他にも国王陛下、王妃様、ソフィア王女、ライリー様やエマ様、カルロ様の従兄弟のジーク様もいる。沢山の人が、私たちの結婚を祝うために来てくれているのだ。




そして、カルロ様の元に着いた私は、お父様からカルロ様へと引き渡される。真っ白なタキシードを着たカルロ様は、本当にかっこいい。




いよいよ式が始まる。式と言っても契約書にサインをし、誓いのキスをする。キスと言っても、ほっぺたにするのだけれどね。




そうそう、ほっぺたにキスと聞いて、唇じゃないのか!て、カルロ様が怒っていたけれど、私は頬っぺたで良かったって思っているの。だって恥ずかしいものね。




無事式を終え、バルコニーへと向かう。そこには、沢山の民が私たちを祝福する為、集まってくれていた。私とカルロ様は、民に向かい手を振る。その時




「エイリーン、僕に人を愛するという気持ち、愛されるという気持ちを教えてくれてありがとう。これから2人で幸せになろう」




この言葉…


漫画の世界で、カルロ様が死ぬ前にリリーに向かって呟いた言葉!この言葉を聞いたとき、今までかんばって来た事が報われた気がして、涙がこみ上げる。




「もちろんですわ、カルロ様。必ず2人で幸せになりましょうね!」


私はカルロ様に向かって、微笑む。カルロ様も私に向かって微笑んでくれた。そして、私たちは民に向かって手を振った。


この幸せが、永遠に続くことを願って。




おしまい




~あとがき~

本編、これにて完結です。

最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。


実はこの作品は、私の処女作になります。右も左もわからず、ただ思うがまま書いたため、読みにくい点も多かったかと思います。


※カクヨムに投稿するにあたり、修正しようかとも考えましたが、せっかくならありのまま投稿しようと思い、手を加えることなく投稿しました。


そんな中、フォロー・ハート・星・応援コメント・レビューなど沢山の方に応援していただき、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。



今後ですが番外編として、カルロ様&エイリーンやフェルナンド殿下&リリーの今後や、エイドリアン&メルシアの馴れ初めなど、本編で書ききれなかったことを、ゆっくりではありますが書いていけたらと思っています。


よろしければ、引き続きよろしくお願いいたしますm(__)m

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