仕事
バブみ道日丿宮組
お題:部屋とYシャツと宗教 制限時間:15分
仕事
平日も休日も仕事が多いこともあって普段着を最近すべて処分した。
もともとおしゃれに気を使うこともなかったから量自体は少なかった。
「お前も付き合わなくていいんだぞ?」
「別に合わせてるわけじゃなくて捨てるなら一緒のほうがいいでしょ」
同居人は俺と同じYシャツ姿。スカートを履いてないから妙にエロさを感じる。
が、ここで襲うわけにも行かない。これから通勤という過酷なスケジュールが待ってる。
「外出るときはスカート履けよ」
「そりゃわかってるよ。別に私は露出狂でもそういう怪しい宗教に入ってるわけじゃないよ。というか、発情しちゃった? 私エロすぎだものね」
自信満々に笑顔でそう言われると返しに困る。
同居人がエロいってのは俺だけが知ってればいいだけであって、他の人に思われたくない。なら、答えは1つ。
「今日の夜は食べるから」
「そ。期待してるね」
軽い化粧を施した同居人は朝ごはんを作りに台所へと向かう。
俺もズボンを履いて、ネクタイを締める。
こうやってYシャツにネクタイを装着すると脳がスッキリする気がする。
うちの会社は別にスーツじゃなくてもいい。スーツを一式持ってるわけでもない。ならどうして着るのかといえば、服を選ばなくていいというとってもめんどくさい理由からだ。
同居人が仕事を始めた頃は用意してくれてたけれど、なんだかだんだん悪くなった。ただでさえご飯やら掃除やらの細かいことをしてくれてるのだから少しくらい休んでてほしくもある。
「はい、野菜ジュースと食パン」
「あぁ」
仕事が忙しくてもこうして過ごせるのは利点なのかもしれない。夜遅くに帰って『おかえりなさい』を言われると心がぽかぽかしてくる。
「今日は早く帰ってくるから」
「そんなに私が食べたいの?」
いちいちピンク色にいうなと思うが、
「そういう欲望の吐け方もあるだろう」
「そうかな?」
「そうだ」
俺の食事を静かに見つめる同居人はいつもどおりだった。
その様子を見て、いつまでこうしていられるのだろうかと不安になった。
「どっかいったりしないよな?」
「んー。買い物に行く予定はあるけど……」
考える素振りを返される。
「いや……やっぱなんでもない」
『変なの』と笑う同居人に本当のことは言えそうになかった。
別れる話なんて……付き合ってる時に話題にするようなことでもないし……な。
仕事 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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