最終章 第33話(最終話)

私達も色々あったように。

皆も色々ある。


「雪夏、ちょっと痩せたわよ?

そんなんじゃ、彼に心配されるわよ?」


秋奈が店に来る度に言う。

秋奈は相変わらず亮太君との純愛を貫いているみたいで、それはそれで幸せそう。


「あぁ……。

卒業したら結婚か……。

マリッジブルー?

もう少し長く学生でいたいよ。」


まだまだ一年以上先の事をしょっちゅうメッセージアプリでボヤく胡桃。

でも彼とは上手く言ってるのか、悪口なんかは聞いた事が無い。


「最近ね、軽部先輩も積極的なの。

本当に雪夏と佐藤先輩のおかげだよ!」


最近肌がツヤツヤしている苑香。

そりゃ……もう幸せそうに店に二人で来て、イチャイチャ……。

ラブラブなのは良いけど、長居されると他の店員が目のやり場に困ってるので……。


「雪夏ちゃん達はいつ結婚するの?」


「まだ分からないです……。」


「そうか。

でも私達が来年だから、再来年あたり?」


「さぁ……。」


裕美さんが会う度に『結婚は?』と聞いて来る。

轟さんに『二人の問題に口出すな』と言われてるのに。

裕美さんいわく『家族の問題』だそうです。


「小豆沢さん、また裕美が怒っちゃって。」


「え?

またですか?」


「うん。

ちょっと太った?って言っちゃって。」


「駄目ですよ、それ。」


「だってさ、顔が少し丸くなってたし。」


「だって、裕美さん、ウェディングドレス着るのにダイエット頑張ってるんですよ?」


「そのストレスで太ったみたい……。」


「あぁ……。

それで余計にストレス与えちゃったと?」


「はぁ……。」


「仲直り早くして下さいよ?」


「うん……。

でも許してくれなかったら助けてくれます?」


「許してくれなかったら一緒に考えましょう?」


「ありがとう……。

君みたいな妹が出来ると思うとホッとするよ。」


「まだ妹じゃないですけど……ね。」


轟さんは最近、裕美さんの事を相談して来る。

この人、昔、かなり強くて有名な不良だったはずなのですが。

義理の兄になるであろう人なので、もう少ししっかりして欲しい……。


「結婚をいつにするって、今じゃないって言われるし。」


「ゴメン……。

したくないわけじゃないんだよ?」


「じゃあ、今すぐしてよ?」


「え?

それは会社とも相談しないと……。」


「何で会社と?」


「ほら、もし子供が出来たらとか……。」


「子供作る気満々なの?」


「そういうわけじゃないけど……。

でも拓哉の子供を産む事は考えてると言うか……。」


「俺、出来ちゃったかとか嫌だよ?」


「え?」


「欲しいから子作りするんでしょ?

でもなー、俺、子供とバトルするのかな?」


「雪夏を独占されたら、辛いもんな。

寂しくて浮気しそう……。」


「浮気?!」


「しないよ、冗談だよ。

でも子供出来ても、俺の相手して欲しいな。」


「育児手伝ってくれたら、相手する時間作れるかな?」


「違うだろ。

手伝うとかってより、やって当たり前だろう?」


「え?

そういう考えなんだ?

珍しいね?」


「だって作っておいて面倒見るの任せるとか無責任だろ?

それに雪夏だけじゃ心配だし!」


「どういう事?!」


「あれ忘れたとか、これ分からないとか、あたふたしそう。」


「しないよ……多分。」


「しないといいな、そうじゃないとパパは安心してお仕事出来ません。」


「パパって……。」


「育児休暇取ろうかな?」


「ちょっと……。

まだそれ考えるの早くない?」


「早く考える日が来て欲しいな。

でももし子供が出来なくても気にしなくていいよ。」


「え?」


「俺が雪夏を一人占めするから!」


「そういう事?!」


「うん。」


拓哉は相変わらず。

早く結婚したがってる。

でもね。

私の描いていた未来がガラッと変わってしまったの。

だから、高校三年生の私が描いた未来図を、今の私が描き直すまで待っててもらうの。

もうやり直さなくていいように……。




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あの人とやり直す人生 φまりかφ @marika-room

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