最終章 第18話
「お久しぶりです。」
拓哉のお母さんに会うのが久々。
「え?
雪夏ちゃん?
え?
別のユキナって人を連れてくるのかと思ったわ。」
ちゃんと説明していないのかな?
それとも名前で分かると思ったのかな?
「やり直してくれるのね?」
「はい。」
「そう。
良かった。」
「え?」
「雪夏ちゃんといるとね、楽しそうだし、真面目に何でも取り組んでくれるし、母としては安心してたのよ。」
「そうなんですか?」
「うん。
スポーツドリンク見ると思い出すのよ。」
「え?」
「いつも持ってたじゃない?」
「あぁ……そうですよね。
今も持ってるんですよ。」
「アハハ、そうなのね?
何かそんなイメージでごめんなさいね。」
「いえ。
うちの商品なので、飲んで下さると嬉しいです。」
「え?
何?
どういう事?
うちにも置いてあるけど……。」
「私、ドラッグストアの社員なんです。」
「え?
それって、啓君と同じ?」
「来年度から本社で轟さんと働きます。」
「まぁ!
それじゃ、もっと積極的にお店でお買い物するわね!」
「ありがとうございます!」
すっかり宣伝してしまった。
「そうそう、もう立ち話もアレだから、御飯食べ始めましょう!」
「え?」
お父さんやおばあさんを待たなくていいのかな?
「そうだよ、食べちゃおう?
二人の分は冷蔵庫に入れておきましょ!」
テーブルの上にお寿司が並んでいた。
しかも、この辺りで一番高級なヤツ!
「雪夏、マグロが好きだよな?」
「うん。
何で知ってるの?」
「高校生の時、回転寿司に行っただろう?」
「あぁ……皆で行った?」
「そうそう。
マグロ取って、びんちょう取って、ネギトロも取って!なんてさ。
俺、マジで笑った。」
「あぁ……それで笑ってたの?
何で笑ってるか知らなかった。」
「マジかよ。
だってさ、他のたべないの?って聞いたら、じゃあポテト!って。
ほーんと、マグロしか食わないんだなって。」
何か言われると恥ずかしいけど、本当の事だ。
「拓哉がマグロ多目にしてって言ったのは雪夏ちゃんが好きだからなのね。」
「俺も好きだよ。」
「そうなの?
玉子じゃないの?」
「玉子だけなのは小さい頃だけだろ?」
「でも好きでしょう?」
「好きだけど!」
ちょっと拓哉がイラついている。
「玉子は甘いのが好きなの?」
「甘くなくても甘くても好きだよ!」
「そっかぁ。
甘めにすると焦げるんだよね。」
「少し焦げたくらいが美味いだろ?」
「そう?」
「作ってくれるの?」
「お口に合うか分からないけど良かったら。」
「マジ?
楽しみだな!」
「塩入れようか?
ロシアン玉子焼き!」
「やめて!
普通でいいから!」
「アハハ!」
「マジでやめて?!」
「どうしようかな?」
「コラ!」
私と拓哉が玉子の話をしていたら、裕美さんとお母さんがニヤニヤしながら私達を見ていた。
ちょっと恥ずかしい……。
でもこれが普段の私達!
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