最終章 第17話

ギリギリまで寝てから、拓哉の実家へ向かう。


「ねぇ、この服でいい?」


「うん、可愛いよ!」


「髪、平気?」


「うん、平気。」


「顔色悪くない?」


「平気平気!」


「あぁ……もう初めましてで緊張する!」


「落ち着け。

お前が初めましてで緊張して何かやらかしても俺がフォローするから。」


「でも……。」


「そんなに自信無いの?

俺が選んだ女だから大丈夫。

何も言わせない。」


不安しかないのは生理中だから?

そういう時って、どうやってテンション上げるの?


「あぁ……。

もう今日はやめておくか?」


「え?」


「嘘だよ。

姉ちゃんも来るから大丈夫だよ。

あの人、あんなだから助けてくれるよ。」


「裕美さんが……。

確かに……。」


妙に納得してしまう。


「あとは……、ばあさんか……。」


「ばあさん?」


「そう。

ばあさんがオーケーしてくれないと結婚なんて駄目とか言うんだよ。」


「えぇっ?!

そんなの聞いてない……。」


「言ってないよな。

そんなの関係無いけどさ。」


「関係あるでしょ!

もーう、どうしよう?!」


突然登場した、ばあさんっていう存在。

どんな人何だろう?


「おばあさん、どんな人?」


「めっちゃ元気だよ。

どこへでも行けそう。」


「そうなんだ?」


「それでさぁ、何か俺、遊んじゃってたじゃん?

だから、お前はあの人と人生やり直した方がいいとか言ってさ。」


「あの人?」


「何か素敵なお嬢さんがいるって。」


「そうなんだ……。」


「どんな人でも俺は雪夏じゃなきゃ嫌だからさ。

どうにかして、許してもらうけど。」


不安だ……。


「ほら、もう着いたぞ。」


「うん……。」


あまり行きたくない。

でも……。


「雪夏ちゃーん!」


早速、裕美さんに見つかった。


「こんにちは。」


「うん、こんにちは。

可愛い格好して、これ拓哉の趣味?」


「いえ、私の趣味です。」


「そうなんだ?

センス良いね!

似合ってるよ!

私、こういうの似合わないんだよね。

憧れるよ!」


「裕美さんもいつも素敵なお洋服ですよ?!」


「そう?

今日の服は彼が買ってくれたの!」


「轟さんが?」


「うん。

こういうの好きなんだって。

似合わないよね?」


「似合いますよ!」


「お世辞?」


「違いますよ。

轟さんは冷静に似合う物を選んで下さったのだと思います!」


「そうかな?」


「はい。

自信持って下さい。

絶対に轟さん喜びますから!」


「そうね。

私が嬉しそうに着てないと彼も悲しいわよね。」


本当に似合ってる。

でも轟さんが選んだとは思えないくらい、センスが良い。


「そういえば、ばあさん、まだ来てないんだって。

何か遅れるみたい。」


「何だよ、父さんもばあさんも?」


「そうなの。

お腹すいたし先に食べたいよね。」


確かにお腹がすいた。



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