最終章 第16話
夜勤明けで、生理痛と闘う私。
「ゆっくり寝てろ。」
「うん。」
拓哉の家でゴロゴロしている。
実は今日の夕飯は拓哉の家族の皆さんと食事をする事になっていた。
緊張しているし、お腹や腰が痛くて眠れない。
「ほら、ちゃんと眠らないと出掛けられなくなるよ。」
「だって……。」
「添い寝してやるから。」
「今日は何も出来ないのに?」
「は?
俺、出来なくても別に気にしないよ?
一緒に眠るだけで気持ちよく眠れるだろう?」
「そうだけど……。」
「つべこべ言わずに早く寝ろ!」
本当は私が抱かれたいのかもしれないね。
言わないけど。
拓哉が腕枕をしてくれて、それだけで……。
「暑い……。」
「確かに暑いな……。」
拓哉が冷房をつけてくれた。
部屋が涼しくなって、拓哉の体温が心地よくなって、やっと眠れた。
それからどのくらい経ったか分からない。
「……。」
私は目覚めた。
そうだ、ここは拓哉の家だ。
一瞬、家を間違えたような気分になった。
私の隣で拓哉が寝ている。
「クチャクチャ……。」
何かクチャクチャ言ってる拓哉。
夢の中で御飯食べてるのかな?
可愛いな。
このままずっと観察していたい。
でも、そんなゆったりした時間はスマホの着信で終了となる。
「んー、電話……。」
拓哉が目を閉じたまま、手探りでスマホを探している。
私はスマホを手渡した。
「もしも……。
ん?
メシ?
うん……分かった。」
会話の内容は聞こえなかった。
「ごめん、雪夏、起こした?」
「起きてた。」
「そっか……。
何か、親父の仕事が定時に終わらないらしくて、遅めに来いって言われた。」
「そうなんだ?」
「だから、二度寝しようか?」
「お腹すかないの?」
「あぁ……言われてみれば。
でも夕飯豪華かもよ?
どうする?」
「どうしよう?
それ、悩ましい!」
「そうだろ?
俺は別に今食べても平気だけどさ。」
拓哉は沢山食べても肉体労働のせいか太らない。
私は食べすぎたらすぐ太る。
「太るのヤダな。」
「え?
少し位、太ってもいいよ?
抱き心地良さそうじゃん?」
「そういう問題じゃないでしょう?
洋服が……とかね。」
「買ってあげるよ?」
「買って欲しいとかじゃなくて、自分が一番可愛いとかキレイって思う姿を彼に見せたいとか分からない?」
「うーん、別に雪夏は雪夏だから、中身が可愛ければ良いんだけど?」
「拓哉に相応しいって皆に思われたいの!
もう似合わないとか言われたくない。」
「言われたんだ?」
「……。」
思い出してしまった。
拓哉を好きな先輩達に嫌味言われたりした事。
やり直すんだから、もう嫌味を言わせない!ってくらいになりたいよ……。
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