最終章 第11話

何だかんだで拓哉の家に二泊した。

二泊目は二人とも疲れていて爆睡。

起きたらもう昼だったみたいな……。


「送って行くよ。」


「大丈夫。」


「送らせて。

少しでも長く一緒にいたいんだ。」


「分かった。

ありがとう。」


家まで送ってもらった。


「明日から夜勤?」


「うん。」


「じゃあ、また店で会えるな。」


「うん。」


「じゃあな。」


「うん、ありがとう。」


私は家に帰る。

皆に貰ったプレゼントを沢山持って。


「フフッ。」


拓哉から貰った指輪を見てニヤけてしまう。

キラキラしてて可愛い。


「あれ?」


プレゼントの中に手紙が紛れていた。

誰からだろう?


『雪夏へ

手紙なんて書いた事ないから、上手く書けるか分からないけど。

多分言えないから書いておく。

俺は本当はこのネックレスを俺の卒業式の日にお前に渡そうと思ってた。

捨てるに捨てられなくて、誰かにあげようとおもってたけど、あげたい女も現れなかった。

ネックレスは、昔の俺から。

指輪は今の俺から。

前から、そしてこれからもずっと。

愛してる。

拓哉』


拓哉の綺麗な字を久々に見た。

じわりじわりと涙が溢れる。

もう泣かされっぱなしだ。

こんな贈り物を用意してくれてたなんて。

私はそれを知らなかったとは言え、別れるって言っちゃって。

本当に馬鹿。

ううん、二人して馬鹿だった。

これから、馬鹿な二人が間違ってた人生をやり直すんだ。


「あぁ……どうしよ?」


手紙の事を今から連絡するのか。

それとも手紙を書くのか。


「苑香?」


「うん、どうした?」


思わず苑香に連絡してしまった。


「手紙って貰った事ある?」


「誰に?」


「軽部先輩。」


「ないよ。」


「だよねー。

はぁ……。」


「手紙貰ったの?」


「うん、紛れてた。」


「佐藤先輩?」


「うん……。」


「無理して書かなくていいんじゃない?

そういうのって書きたい人が書くでしょ?」


「まぁ、そうかな?」


「読んだよ、ありがとうって言えば?

それか誕生日にメッセージカードに書いちゃうとか?!」


「あぁ、それ良いかも。」


「で、何って書いてたの?」


全部を話すのは照れくさいな……。


「卒業式に渡す予定だったプレゼントだって。」


「え?」


「自分が卒業する時に渡すつもりだったみたい。」


「ちゃんと取っておいたんだ?」


「そうみたい。」


「そっか。

渡せて良かったね。」


「うん、そうだね。

いきなり聞いて貰ってごめんね。」


「ううん、また今度遊ぼうね!」


「うん、ありがとう。」


やっぱり彼氏も大事だけど、友達も大事だね。

本当、一人で考えなくて良かった。


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