第3章 第47話

「雪夏、この後、一緒に出掛けてくれる?」


「え?」


「二人きりでちゃんと話そう。

もっと話す事あるでしょ?」


「分かった。」


「そろそろ時間だしね。」


「時間?」


「うん、店のすいてる時間に貸し切りにしただけで、この後は通常営業なんだって。」


「そうなんだ。

何か私の為に悪い事しちゃったかな?」


「お前なぁ、そういう時は私の為にありがとうって言うもんなんだよ。」


「あぁ……。」


「皆にちゃんと挨拶した方がいいよ?」


「うん。」


皆にちゃんとお礼を言わなくちゃ。

軽部先輩が察してくれて、皆を一ヶ所に集めてくれた。


「皆さん、今日は本当にありがとうございました!

私は今日の事、忘れません。」


私がそう言った時、


「えっと、皆さん本当にありがとうございました。

俺達、これからデートして来ます。

まだ……友達って事なんだけど、皆に迷惑かけたり心配かけたりした分、二人で今後について、しっかり話して来ます。

どうなるか分からないけど……。

雪夏の事、これからも宜しくお願いします!」


そう佐藤先輩が言った。


「頑張って下さいっす!」


亮太君が大きな声で言った。


「雪夏、頑張れ!」


秋奈が大きな声で言った。


「ありがとう!」


私がそういうと、皆が拍手をしてくれた。


「じゃあ、行くよ!」


「え?

片付けとか……。」


「それは皆に任せていいよ。

こういう時は甘えるものだろう?」


「え?」


私はこのまま行っていいのかな?


「早く行きな!」


苑香が私の背中を押す。


「うん、行ってくる!」


「頑張って!」


「ありがとう!」


私は佐藤先輩と一緒に店を出た。


「はい、お嬢様。」


佐藤先輩がそう言って、ドアを開けてくれた。


「ありがとう。」


「うん。」


佐藤先輩が嬉しそうにドアを閉める。

きっと、こういうのも最初だけ……って胡桃が言ってたっけ。

段々と、やらなくなるって。


「雪夏?」


「……。」


「おい?!」


「あっ、ごめん。」


「何を考えてた?」


「何も考えてないよ?」


「本当に?

嘘吐いたら、チューしますよ?」


「嘘じゃないよ。」


「ふーん。

じゃあ、行こうか。」


嘘を吐いた。

バレてないといいんだけど。

そのまま、佐藤先輩は車を走らせた。

行き先不明だけど……。


「雪夏さぁ、お腹すいてない?」


「え?」


「俺、ちょっと腹減った。

さっき、ケーキとサラダしか食ってないよ。」


「え?

私、ケーキとサラダとパスタ食べたよ?」


「マジか。

何かコンビニで買っていい?」


「うん。」


たまたま目についたコンビニに立ち寄る。

私は車で待つ事にした。

佐藤先輩はビックリするくらい速く買い物を済ませて戻って来た。


「はい、これ。」


「え?

これ、私の好きなヤツ。」


「だろうな。

そのフルーツウォーターシリーズ大好きだろう?」


「そんなの言ったっけ?」


「いつも飲んでたじゃん?」


「覚えてたんだ?」


「当たり前だろ?」


「そっか。

ありがとう。

いただきます。」


私は大好きなフルーツウォーターを渡されて、テンションが上がってる。

でもどこに向かってるんだっけ?

それを聞いたら良いか分からない。

でもサプライズなのかな?

それなら聞かない方がいいよね?


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