第3章 第45話

いつものメンバーで女子会のように座った。

秋奈と胡桃と苑香と私だ。


「秋奈に彼が出来るとはね。

しかも年下のイケメン!」


「彼を欲しいとか考えた事なんてなかったんだけど。」


「何でOKしたの?」


胡桃と苑香が興味津々だ。


「雪夏が会わせてくれた人だから、ちゃんと向き合いたくて。

色々話したんだけど、年下に思えなくて。」


「そうなの?

雪夏が絡んでなかったら?」


「イタズラ?って思うんじゃない?」


「そっかー。」


秋奈はそういう事に興味が無いと思ってた。

だけど、亮太君ならいいかもって思ってた。

話し方は変わってるけど、しっかりしているから。


「胡桃と安田さんは、安田さん次第だったよね?」


「そうだね。

ずっと好きだったもんね。」


「胡桃だけ気付いてなかったよね?」


「だよね。」


安田さんがきっと頑張ったんだろうなと思う。


「苑香は……心配なさそうね?」


「うん。

雪夏が一番心配じゃん?」


「どうするのかね?」


私はまだ何も言えない。


「雪夏さぁ、今日のこれ、佐藤先輩が皆に声をかけてくれたんだよ?」


「え?」


「私も雪夏の誕生日に何かしたいとは思ってたけど、佐藤先輩が雪夏は友達を大事にしてるから友達との時間も必要だって。

軽部先輩に相談してた。」


「……。」


「佐藤先輩、今日こそ一人占めしたいのにね。」


「……。」


「でもまだ付き合ってないんだよね?」


「うん。」


「ちゃんと話しなよ?」


「分かってる。」


皆にいつまでも心配かけていられない。

今日こそ、ちゃんと話し合いたい。

話し合ってくれるかな?


「雪夏、それにしても、めっちゃ気合い入ってない?」


「え?」


「めっちゃ可愛いんだけど。

デートって、そういう格好するんだ?」


「デートだからじゃないかも。」


「え?」


「いつもの癖かな。

釣り合う自分になりたくて。

彼はモテるのに、彼女はアレなの?ってなると辛いじゃん?」


「あぁ……、前に色々言われたもんね。」


「佐藤先輩が恥ずかしい思いするの嫌だったし。」


「そっかー。」


本当に色々言われて辛かったな。

今だって、言われたらどうしようって思っちゃう……。


「恥ずかしいわけないだろう?

周りの目を気にしすぎなんだよ。」


「え?」


気付いたら佐藤先輩がそばにいた


「じゃあ、二人で話しなよ?」


「うん……。」


私は佐藤先輩と二人きりにされた。

皆は少し離れた所で御飯を食べている。


「気にしすぎな理由は?」


「……。」


「はっきりしろ。」


「悪口いっぱい言われたから……。」


「誰に?」


「多すぎて分からない。」


「何で言わなかった?」


「佐藤先輩を好きな同士だったから。」


「言えば良いじゃん。」


「そうしたら私か相手が傷つくよ!」


「お前が傷付いたら俺が守る……って思ってたのに、守れてなかったよな。」


「……。」


「ごめん。」


「……。」


「釣り合うとかどうでもいいんだけどさ。

周りの目より、俺の目を気にして欲しいよな。」


「え?」


「俺が似合うなって思う格好してくれたら、俺がそう思う格好を考えてくれたら、そういうの嬉しいじゃん?」


「佐藤先輩が喜ぶ格好?」


「うん。

今日みたいな可愛い格好。」


「え?」


「どうして、それを選んだの?」


「周りの人が釣り合わないって悪口言わないかな?って。」


「そうなんだ。

俺に可愛いって思われたいからじゃないのかー、残念!」


そうだ。

私……彼氏を喜ばせたいって思ってなかった。






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