第3章 第25話

特別何も問題無く遅番が出来ていた。

心配して損した感じ。

桝本さんが妙に素直でおとなしくて気持ち悪いくらい。


「雪夏ちゃん、明日休み?」


「はい。

優子さんは?」


「私は出勤。

またしばらく会えないかな?」


「ですね。」


「休みの日って何してるの?」


「カフェにいますよ。」


「カフェって、うちの方の?」


「はい。

真綾さんも来てました。」


「そっか。

じゃあ、私も暇な時行こうかな。

子供保育園だし、暇な時あるんだよね。」


「是非行って下さい!

私もたまにいます。」


カフェの人気が出たら嬉しいし、つい力説しちゃう。


「そうなんだ。

じゃあ、会えたらいいね。」


「はい!」


「あのカフェ、最近流行りのスイーツが充実して来たみたいだよね?」


「そうですか?

胡桃が学校で習ってるのかも?」


「胡桃ちゃん?」


「あの店の看板娘です!」


「あぁ……。

あの真綾とふたまたの……。」


「あぁ……そうでした。」


思い出したくない過去の話……。


「そうかぁ。

あの彼は生きてるのかな?」


「……。」


「真綾、相当キレたらしいよね。」


「はい……。」


「コンクリートで何とかってヤツかな?」


「沈められるんですか?」


「かもね?

でも深入りしない方がいいわ。

真綾、根掘り葉掘り聞かれるの苦手なのよ。」


「そうなんですね……。」


雑談をしていると誰かがレジに近付く。


「優子さん!」


「あっ、真綾!」


「この店ってマタニティ用の洋服あるよね?」


「うん。

足りないの?」


「ううん。

足りてるけど、違うの着たくなっちゃった。」


「あんまり増やすと邪魔よ?」


「邪魔だったら、優子さんにあげるよ。

まだ産むでしょ?」


「産むかもしれないけどさ。」


私はまだこの店の洋服コーナーをよく見ていなかった。

優子さんと真綾さんが二人で洋服を物色しているのを私はレジから見ている。


「雪夏ちゃん。」


「はい。」


店長に呼ばれた。


「もう少し洋服売場を広げた方がいいかな?」


「え?」


「わりと売れるんだよね。」


「そうなんですか?」


「うん。

今度入荷する商品、一緒に選んでくれる?」


「はい!」


商品の発注とか大好きな作業!

楽しみだなぁ……。


「あと夜勤の時に洋服売場整頓しておいてくれる?

結構ぐちゃぐちゃにされがちでね。」


「はい。

分かりました!」


言われてみると乱雑に商品が並んでいる。






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