第3章 第24話

今日は桝本さんにレジを……。


「こんにちは。」


「……ちは。」


相変わらずの対応。


「こういう時って、どうするんでした?」


「ここ。」


「ありがとうございます!」


めっちゃ塩対応に思えるんだけど、前に比べたら優しい……。


「あっ、雪夏さん、今日はレジっすか?」


「亮太君、今日は休みでしょう?」


「そうっす。

でも妹に頼まれたっす。」


「え?

生理用品?」


「そうっす。」


「これで足りるの?」


「え?」


「これ、小さいサイズだけど、大きいのは?」


「大きいのもいるっすか?」


「人それぞれだけど?」


「あぁ……マジっすか。

聞き忘れたんで電話するっす。」


「あっ、レジのそばで電話したら、御客様の迷惑だから、もっと隅で。」


「あっ、ごめんっす。」


亮太君が店の隅で電話している。


「仲良くても、ちゃんと言うんですね。」


桝本さんが呟く。


「え?」


「御客様の迷惑だから、ここでは止めてって言うんですね。」


「当たり前でしょう?

仲良いからこそ、ちゃんとしてって言うつもりだけど……。」


「そうなんですね。」


会話が初めて成立した気がする。


「雪夏さーん!」


「はい!」


「多い日の昼用の羽つきって?」


「そのメーカーでいいの?」


「いいっす。」


「じゃあ、これね。

今、大きいパックのもあるけど、どうする?」


「どう違うっすか?」


「大きい方が御値段はお得。」


「これ、沢山あって困らないっすか?」


「どうせ使うでしょ?」


「あぁ……そうっすね。

じゃあ、大きい方で。」


亮太君は恥ずかしがらずにレジに行くけど、桝本さんが恥ずかしそうだった。


「紙袋に入れますか?」


「ううん、そのままでいい。

リュックに入れちゃう。」


「そうですか。

ありがとうございます。」


桝本さんの対応がぎこちない……。


「桝本さん、髪型変えた?」


「え?」


「前髪短くなった?」


「はい……。」


「そっか。

いいと思う。

そんじゃ、またね。」


「はい……。」


全然気付かなかったけど、少し切った髪に気付いたらしい。

女子ってそういう所に気付いて欲しいよね?って思う。


「桝本さん。」


「はい……。」


「クーポン渡し忘れてる。」


「あっ……。」


「そういうの大事な人もいるから、知ってる人でも気を付けて。」


「はい……。」


今日の桝本さんは素直だ。

ずっとこのままだったら、やりやすいかも……。


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