第3章 第13話
無事に夜勤もこなせて、今日は夜勤最終日。
「眠そうですね?」
轟さんに言われてるのに気付かないくらい眠い。
「起きてます?
何なら仮眠します?」
「え?
あぁ……すみません。
ボーッとしてました。」
慣れないシフトで、すっかり寝不足だった。
「遠慮なく仮眠して下さいね。
そこで立ったまま眠るのが危ないので。」
「すみません……。」
「僕もたまに休憩時間に寝てますよ。
今日は御客様少なそうなので、寝るなら今の内です。」
「ありがとうございます。」
お言葉に甘えて仮眠させてもらう事にした。
店の奥の部屋で……すぐに眠ってしまったらしい。
ちょっと記憶が曖昧……。
「雪夏?」
「……。」
「雪夏!」
「ん?」
「ちょっと起きて!」
「んーっ……。」
寝ぼけている私を起こしていたのは佐藤先輩だった。
「起こしてごめん。」
「え?
ちょ……何で……。」
「これ伝票。」
「あっ……お疲れ様です。」
「うん。
そんで、お前、寝てていいの?」
「え?」
「仕事中だろう?」
「え?
あっ、ヤバッ!
もうこんな時間!」
「こら、慌てるな!
髪、グシャグシャじゃないか。」
佐藤先輩が私の髪に触れる。
懐かしい感覚……。
ドキドキする……。
「うん、これで良し。
行って来い!」
「あ……ありがとう……ございました……。」
「どういたしまして。
じゃあ、俺も仕事戻るわ。」
「うん……。
お疲れ様です。」
佐藤先輩を見送ってから気付いた。
この前のお礼を言ってないって。
心配してくれたのに……。
でもすぐにトラックのエンジン音がして、追いかけても間に合わないなって思った。
とりあえず店に戻って仕事しなくちゃ。
「あっ、起きたんですね。」
「はい!
すみません。
爆睡してました!」
「何か顔が赤いですよ?
具合悪くないですか?」
「平気です……。」
「配送の人に起こされました?」
「はい……。
伝票が……って。」
「そうですか。」
轟さんはいつも通りだった。
「轟さん、休憩されますか?」
「そうですね、お腹すいたんで、少し良いですか?」
「ゆっくりして下さい。」
「ありがとうございます。」
轟さんが休憩中に御客様は来なかった。
私は暇で眠りそうだったから、品出しをしたり、陳列棚の掃除をしてみた。
ちょこっと埃をかぶってる商品もあって、キレイにしておいた。
やっぱり買うならキレイな方がいいよね!
そうやって集中していたら、佐藤先輩が来た事も忘れかけてた。
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