第3章 第7話

今日はレジの使い方を習う。


「安心して、あの子いないから。」


優子さんに言われて、ホッとした。


「いらっしゃ……。

え?」


「いらっしゃいました!」


胡桃が買い物に来てくれた。


「実習してたら火傷しちゃってさ。」


「あぁ……痛いね、火傷。

早く良くなるといいね!」


「うん。

この薬、ずっと親が使ってるからさ。

残り少ないって言うし、来ちゃった。」


「ありがとう。」


「ううん、何か冴えない顔して歩いてたって聞いたからさ。」


「誰に?」


「真綾さん。

最近、うちのデカフェコーヒーにハマってるんだって。」


「そうなんだ?」


「うん。

雪夏も来てくれてありがとうね。」


「ううん、こちらこそだよ。

また行くよ。」


「ありがとう。」


「こちらこそお買い上げありがとうございました!」


胡桃が火傷したのは心配。

でも来てくれて嬉しい!


「あの子、カフェの子だよね?」


「はい。」


「あぁ……真綾の元彼がふたまたかけてた……。」


「知ってるんですか?」


「はい。」


「真綾、元彼にキレてたけど、あの子にキレなかったのよね。

変わったわね。」


「え?」


「前なら、彼に手を出した女が悪いみたいな態度だったのよ。」


「そうなんですか?」


「ちゃんと現実が見れるようになったのかな。

あの子のおかげかも?」


「え?」


「ほら、軽部君の彼女。」


「あぁ……苑香!」


「苑香ちゃん、誰にでも態度変わらないタイプでしょう?

今まで、結構家の事で嫌な思いしてたのよ。」


苑香は苑香で偏見とかあって辛かった時期もあったみたいだし、何となく軽部先輩といる事で優しい雰囲気になった気がする。


「どう、レジは?」


「あっ、良子さん。」


「今日は客だからね。

練習しなさーい!」


「あっ、いらっしゃいませ!」


「あっ……って言っちゃダメよ?」


「すみません。」


「申し訳ございませんでしょ?」


「申し訳ございません。」


良子さんは休みなのに接客指導に来たみたい。


「良子さん、こんなに買って持てるんですか?」


「今日は車だからね。」


「あぁ……でも積むのに腰に来ません?」


「店長にやらせたらいいわよ。」


「そうですね。」


店長が店長扱いされてないような……。


「ほら、店長。

早く荷物運びなさいよ。」


「あっ、はい。」


「丁寧に運んでよ?!」


「はい。」


もう良子さんが店長みたい……。


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