第3章 第5話
楽しい仕事。
それでも色々あるわけで。
「雪夏ちゃん、ちょっと。」
良子さんに呼ばれる。
「夕方からバイトで入る高校生で亮太君のファンの子がいるから気を付けて。」
「え?」
「その子、何故か亮太君の彼女に嫌がらせして、別れさせちゃったの。」
「そうなんですか?
でも何で私にその事を?」
「二人で仲良く品出ししてるの見たらしくてね。
今まで早出だったから会って無いでしょ?
今日から遅出だし、何かあったらレジにいるお姉さんに相談して。」
「はい。」
「その高校生、あのお姉さんの事を怖がってるから。」
「そうなんですね……。
分かりました……。」
気が重くなる話を聞いた。
佐藤先輩と仲良くなって、嫌がらせされてた。
彼女になっても、嫌がらせされてた。
その時は好きだから頑張るって決めた。
でも、亮太君を好きだけど、恋愛感情は無くて。
なのに目の敵にされるのは辛い。
「ゆーきなちゃーん!」
「え?」
「ヤッホー!」
「はい……。」
軽いノリで話しかけて来たのは、良子さんが言ってたお姉さんだった。
「貴女、拓哉君の元カノ?」
「え?」
「いきなりごめん、えっと……。
あっ、軽部君の彼女の友達!」
「あぁ……そうですけど……。」
「真綾は分かる?」
「はい。」
「私、真綾の幼馴染みみたいなもんで、真綾の一個上なんだけど、真綾が知り合いが働くらしいって言ってたからさぁ。」
「そうなんですか?」
「うん。
真綾が優しくしてあげてって言ってた。
あの拓哉君が初めて告白した女だって。」
「え?」
「あれ、知らない?」
「知らないです。」
「そうなんだー。
なのに拓哉君、フラれたんでしょう?」
「す……すみません。」
今更なのに……動揺した。
初めて告白したって言葉が突き刺さる。
「なーに謝ってんのよ。
カップルには色々あるでしょう?
うちだって、バカ旦那と色々あるんだから。」
「御結婚されてるんですか?」
「うん。
子供が保育園決まって、今月からパート復帰よ。」
「そうなんですね。
お子さんの写真、今度見せて下さい。」
「うん、いいよ。
子供好きなの!」
「はい。
モチモチしてて可愛いじゃないですか!」
「アハハ!
モチモチね。
じゃあ、今度オムツ交換してもらおうか。
可愛いってだけじゃ子育て出来ないよ!」
「え?」
「未来に赤ちゃんに触れる時の練習よ!」
「はい……頑張ります……。」
「ハハハ、可愛いね。」
何か、からかわれているような……。
「すみません、お名前伺って良いですか?」
「あっ、ごめん。
優子って呼んで。」
「優子さん……ですね。」
「うん、優子さんでもいいよ。」
優子さんに頼ったらいいのかな。
「良子さんに言われたと思うけど、
「桝本可奈さん?」
「亮太君狙いの高校生!」
「分かりました……。」
いつ来るか分からない桝本可奈っていう人。
来なきゃいいのにって思ったら来た。
「こんにちは!」
「こんちわー。」
優子さんに挨拶をしている。
私の前に来たと思ったら、
「ちょっと、邪魔なんですけど!」
小声でそう言った。
「あっ、ごめんなさい。」
「どこにいても邪魔だから消えろブス!」
消えろブスって言われました……。
言われる筋合い無いのに。
これからが心配……。
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