第3章 第3話

今日も出勤。


「おはようございます!」


「おはようっす。

新入社員の雪夏さんっすか?」


「あっ、はい。」


「あっ、俺、バイトの牛島亮太うしじまりょうたっす。」


「牛島くん……ですね。」


「定時制の高校生っす。

今、17で、今年18っす。

年下なんで亮太でいいですよ?」


「えっと……亮太君でいいかな?」


「オッケーっす。」


高校生って聞いただけで若いと思ってしまった。

先月まで自分も高校生だったのに。


「雪夏さん、今日は動きやすい服装で来たんっすね?」


「あぁ……昨日そう言われたので。」


「じゃあ、今日は俺と品出ししながら配置覚えて行きましょう。」


「あっ、お願いします。」


「宜しくっす!」


年下に仕切ってもらっている。


「重いのはカートとかで良いんっすけど、邪魔になるんで、お客さんに気を付けて下さい。

でも今日は軽いのにして下さい 。

重いの俺が運ぶんで。」


「はい。」


渡された箱を持って一緒に歩く。


「あぁ……こんなふうにいらないのを別のコーナーにポイっとするお客さんいるっす。

腹立つけど商品に罪はないんで、元の位置に返すっす。

あと、場所変えといて気付かれないと、ここの商品見てないと思って盗むヤツいるっす。

蹴り入れたいけど、我慢して捕まえるっす。」


「捕まえたの?」


「勿論っす。

そこの高校のヤツとかも捕まえたっす。」


「え?」


「イケメン先生が謝罪に来たっす。

そこの高校の生徒さん、よく来るっす。

歌いながらスポーツドリンク買う女子……。

あれ?

雪夏さん、店に来てたっすか?」


「歌いながらって、私……ですかね?」


「あぁ……。

うちの店員、楽しそうでいいなぁって思ってるっす。

悪口言って無いっすよ。」


「そうなのね?」


「はいっす。」


「亮太君、学校は何時からなの?」


「17時半からっす。

店長が好きな時間でいいって言うから、今日は10時から15時まで働くっす。

だいたい品出しと雑用専門っす。」


「そうなの?」


「レジはこの時間って、主婦が多いっす。

なので、俺は夜中に出しきれなかった荷物をさばくっす。」


「そうなのね?」


亮太君はよく喋る。

でもちゃんと手を動かす。

丁寧に品物を扱っている。


「これ、凄い売れるっす。」


「あぁ……このウェットティッシュ、除菌もするし、いい匂いするし、スーッとするの。」


「そうなんすか?」


「安いし、変なデオドラントスプレーより良いよ!」


「へぇー、妹にあげようかな?」


「妹さん、いくつ?」


「13っす。

今、中2です。」


「そうなんだ。

中学生なら、こっちの違う香りもいいよ?」


「なるほど、じゃあ、こっちにするっす。」


年齢が近いせいか会話が弾む。

仕事って楽しいかも?と思った。



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