第2章 第50話
今日は……。
「ねぇ、秋奈は連絡くれるよね?」
「くれるでしょ?」
「でもここで待ってるの知ってるから、連絡無しで来るかも?」
秋奈の合格発表。
皆で見に行こうとしたら、
「一人で行くわ。」
なんて拒否されて、いつものカフェで待っている。
「あぁ……ネットで見ちゃう?」
「見れるの?」
「受験番号知らないでしょうが!」
私も苑香も胡桃も落ち着かない。
「早ければ帰って来るよね?」
「うん。」
「ちょっと落ち着こう?」
落ち着けるわけがない。
「もし落ちてたら?」
「うーん……。」
「そっかぁ……しか言えないでしょう?」
不合格の時のシュミレーションなんてしてみるけど、やっぱり難しい。
余計な事を言えないもんね。
「もう、どうしよう?」
「どうしよう?」
「大丈夫よ、秋奈だもん。」
大丈夫かな?
どうだろう……。
「何よ……皆で険しい顔して。」
秋奈が来た。
「胡桃、私、温かいカフェオレ飲みたいわ。」
「か……かしこまりやしたー!」
「え?
やしたって?」
胡桃が一番冷静かと思ってたら、凄い緊張している。
「ちょっとロボットみたいな動きね。
転びそうよ?」
ドカッと席に座った秋奈が胡桃を心配そうに見ている。
そんな胡桃に気付いて、パートのおばさんがカフェオレを運んで来た。
「お待たせしました、カフェオレです。」
「ありがとうございます。」
おばさんの後ろをヒョコヒョコ歩いていた胡桃は無言で席に座った。
「いただきます。」
秋奈がカフェオレを飲み始めた。
「あの……、皆でガン見するのやめてくれない?
飲みづらいわよ?!」
「あっ、ごめん……。」
ついつい見てしまう。
「はぁ……ごめんなさい。
生き返ったわ。」
「え?」
「寒いのよ。
あっちは雪が降ったの。」
「え?」
「ちらついただけだんだけど、手が真っ赤になってたわ。」
「そうなんだ……。」
秋奈は中々本題に入らない。
もしや、言いづらいの?
「それで。
皆に報告が……。」
「ゲホッ!」
「ゲホッって……。
ちょっと苑香、落ち着きなさいよ。」
「ご……ごめん。」
苑香が気まずそうにしている。
「落ちて……。」
「え?」
「落ちてたらどうしようとか考えなくもなかったわ。」
「はい?」
「私が落ちるわけないじゃない。」
「えっと……。」
苑香が混乱している。
「ちょっと……待ってて!」
胡桃が走って、店の厨房に入っていった。
何だろう?と思ったら、ホールケーキを運んで来た。
「はい、秋奈!」
「え?
注文してない……。」
「うちの両親から。
メッセージ間違っていないでしょう?」
「うん……。」
「おめでとう、秋奈。」
「ありがとう……。」
秋奈が泣いている。
「え?
おめでとうなの?
ちょっと、わけ分かんないじゃん。
ちゃんと言ってよ!」
苑香まで泣いている。
「おめでとう、秋奈。」
「うん、ありがとう。
雪夏、会社辞めないでよ?」
「当たり前じゃん!」
秋奈は嬉しそうにしている。
「ところで、一人でケーキ食べられないわ。
胡桃、四等分にしてもらえる?」
「勿論!」
秋奈が貰ったケーキを皆で食べた。
全員おめでとうって、そう言える日が来て良かった。
私達の高校生活は終わったけど、友情はずっと続いたらいいね。
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