第2章 第47話

今日は……秋奈の試験日。

共通テストというのを受けて、来月はまた別にテストがあるらしい。

私は学校が終わって、苑香と一緒にカフェに来た。


「秋奈、大丈夫かな?」


「平気だよ、多分。」


「でもさぁ、昨日、疲れきってたよね?」


「まぁね。

でも信じよう?

秋奈なら大丈夫!」


「だよね。」


私は苑香と二人でオレンジジュースを飲んでいた。


「こんにちは。」


いきなり聞き覚えのある声がした。


「軽部先輩……。」


軽部先輩が仕事着でやって来た。

そして、苑香の隣にドカッと座った。


「雪夏ちゃん、この前はごめんね。」


「え?」


「薬局に付き合ってくれたんでしょ?」


「あぁ……。」


苑香は、ちゃんと話したみたい。


「俺はちゃんともしもの時は責任取るつもりでいるけどさ、やっぱ、出来たかもとか言いにくいよな……。」


「そうですね……。」


「だよな。

聞いていいか分からないけど、雪夏ちゃんは拓哉とそういう事してたよね?」


「まぁ……。」


「もしかしたらって事はあった?」


「少しは思いました。

でも大丈夫だったので。」


「そうなんだ?」


「向こうがそういうの敏感だったと言うか。

遅くない?

もしもの時はちゃんと言ってって。」


「なるほど。

やっぱり、男も知識無いといけないよな。」


軽部先輩は納得したような表情をしている。


「どうしても言いにくい事は聞いてあげて欲しい。

でも俺には言いづらいの?とか思わなくもないけど。」


「言いづらいけど、悪意ないです。

困らせたり心配かけたりさせたくないと言うか……。

まぁ……私の場合、捨てられるかなとか。

あの人、モテたので……。」


「あぁ……。

でも告白されても全部断ってたよ。

だから、今がおかしい。」


「おかしい……ですか?」


「うん。

あのさ、アイツとやり直すって考えられない?」


「ちょっと……今は考えられないです。」


「そうだよね。

ごめん。

でも俺はアイツの事が心配でね。」


「心配?」


「そこまで人って変わらない気がするんだけど、やってる事は全然変わっちゃってるわけで。」


「そうですか……。」


「忘れようとしてるけど、引きずってるのかと思う。」


「……。」


私はもう戻る事なんて出来ないと思う。


「ほら、雪夏が困ってるじゃん!」


苑香イライラしている。


「そうだね、ごめんね。」


軽部先輩が謝ってくれた。

でも本当は謝らなくていいと思う。


「雪夏、ごめんね。」


「何で苑香まで……。」


「私も佐藤先輩の事が心配になって。

いつも違う人を連れてるし、何故か雪夏の行きそうな場所にいるし。」


「え?」


「実はさ、初詣の時もいたんだ。」


「え?」


「秋奈が気付いて、雪夏が気付かないなら知らないふりしよう?って。」


「そうなんだ?

気を遣わせてゴメン……。」


「ううん、雪夏は悪くないから。」


佐藤先輩が私の事なんて、さっさと忘れてくれたらいいのにと思った。

もう本当はどうでもいい存在かもしれないけど。

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