第2章 第46話
新学期。
ちょっとドキッとする事が起きた。
「ちょっと、雪夏。」
「ん?」
苑香が深刻そうな表情で私を呼ぶ。
「あのさ……。」
「どうした?」
「アレが来ないの?」
「ん?」
「女の子の日!」
「あぁ……どのくらい来ないの?」
「半月くらい……遅れてるかも?」
「えぇっ?!」
「どうしよう?
妊娠してるのかな?」
「検査薬買って確かめたら?」
「でも高校生が買うとか……ね?」
「私服でマスクしていけばバレないよ。」
「あっ、それいいね!」
苑香は胡桃と秋奈に内緒にしたいみたい。
だから、二人で薬局に行った。
勿論、私服でマスクをして。
「これなら大学生に見える?」
「大学生ってより、OLっぽい?」
「それいいね!」
「でも緊張する!
レジの人に、ヤったんだ?って思われるじゃん?」
「それは仕方ない。
だから、普段行かないドラッグストアに来てるんじゃん?」
「そうか。
うん、じゃあ、買おう。」
そうは言っても検査薬なんて買った事が無い。
「もう種類多すぎ!」
「どれがいいんだろう?
一番安いの?」
「そうだよね……でも安いのって信用できる?」
「信用出来なかったら売らないよね?」
「そうだよね。
じゃあ、どう違うの?」
「うーん……。
分からない……。」
二人で悩んでいると、背後に気配を感じた。
「一番安いのでいいと思うよ。」
誰かと思ったら、真綾さんだった。
「え?
あっ、その……。」
「軽部君と今も付き合ってるんでしょ?」
「うん……。」
「軽部君の事だから、ちゃんとしてると思うんだけど……。」
「ちゃんと避妊はしてる……。」
「だよね。
いいわ、お姉さんが買ってあげるから。」
「え?」
「高校生がこの金額出費するの辛いでしょう?」
「うん……。」
「って、軽部君に請求した方がいいわね。
こういう事、ちゃんと話せないと辛いよ?」
「そうなんだけど……。」
「大丈夫。
彼なら、言われても変わらないよ。」
「え?」
「誠実だからね。
だから、苑香の事もきちんと考えてる。」
「そう……なの?」
「自分で買って、軽部君に請求してもいいと思う。
私から言ってもいい。
どうしても隠したいなら隠していいよ。
私はそれがいいとは思わないけど、言わないでって言うなら約束は守るからね。」
真綾さんの表情が険しい。
「じ、自分で買って話すよ。
話しづらかったら、一緒にお願いします。」
「うん。
やっぱり良い子だなぁ、苑香は。」
真綾さんの表情が一気に明るくなった。
「実はさ、私も検査薬買いに来たの。
もう買ったんだけど。」
「はい?」
「組の若い人と上手く行ってね。」
結局、検査薬は真綾さんがわけてくれた。
「じゃあ、行ってくる!」
とりあえず、ショッピングモールのトイレに行って……。
「あっ……。」
トイレの個室から苑香の声がした。
それから少しして、苑香が出てきた、
「ごめん!
アレ、来た!」
「えっ……今?」
「うん。」
ひとまず、検査薬は使わずに済んだ。
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