第2章 第45話

あけましておめでとうございます。

新年が始まりました。


「あけましておめでとうございます。

昨年はお世話になりました。

今年もよろしく……。」


「もう、秋奈ったら!

堅苦しいって!」


「でも、こういう事は大事でしょう?」


「大事だけど、あけおめことよろ~くらいで良いんじゃない?」


「何それ?

呪文か何か?」


「呪文って……。

秋奈、本当に面白いんだから!」


秋奈と苑香が話している。

噛み合ってるんだか噛み合ってないんだか、聞いてると笑っちゃう。


「秋奈は初詣なんて来てる場合じゃないのにね。」


「前の秋奈なら来なかったね。

私も強引に誘ったりしなかったし。」


「そうなんだ?

苑香のおかげかな?」


「そうだね。

苑香、強引だもん。」


私と胡桃は少し離れて、苑香と秋奈を見ていた。


「え?

何?

呼んだ?」


「ううん、呼んでない。」


苑香は地獄耳なのかな?

噂をしてるとすぐに気付く。


「苑香、初詣は彼氏と行かないの?」


「え?

あぁ……軽部先輩が初詣に二回行くとか聞いた事がないって言ってた。」


「え?

私、二回行った事あるよ?」


「それダメじゃない?」


「え?

でも高校受験の前にって、ここの神社とあっちの神社行ったよ!」


「そうなんだ?

誘ってみようかな?」


私は沢山行ってもいいと聞いていた。


「別に一回ってルールは無いでしょ?

日本の神様は神様同士喧嘩しないから、いくつか御守り持っていても良いと聞いているわよ。」


「え?

そうなんだ?

御守りいっぱい持ってたらパワー倍増かな?」


「御守りを沢山持っていても自分が努力しないとダメでしょう?

いくら神様も頑張らない人を応援しないでしょう?」


「そうなんだ?」


苑香は秋奈の話を真剣に聞いているせいか、秋奈の口数も増えている。


「ねぇ、おみくじ引こうよ!」


「ここのおみくじ、総合運と恋愛があるわよ?」


「恋愛がいいよ!」


「私は総合運で。」


結局、苑香だけ恋愛のおみくじを引いた。


「うわぁ……。」


「どうしたの?」


「中吉!

恋愛中吉って、何かピンと来ない!」


「え?

凶とかじゃないから良いじゃん?

悪い事は書いてる?」


「うーん……隠し事に注意……くらい?」


「就職の事は言ったの?」


「うん、言った。

でも知ってたって。

佐藤先輩に聞いたかと思ったら、うちのお母さんが言ったんだって。」


「え?

お母さんと彼が仲良しなの?」


「うちに来た時に話しただけなんだけど、私がトイレに行った時に言っちゃったみたい。」


「そうなんだ?」


苑香と胡桃が話している。

私は別に凶とかでもいいけど、秋奈が気になる。


「何、心配そうに見ているの?」


「いや、どうだったかな?って。」


「こんな所で運を使っていいのかしら?」


「え?」


秋奈のおみくじは大吉だった。

私と胡桃は中吉。

皆、わりと良い感じだった。


「あっ、あの人落ち込んでる……。」


「え?」


「同じ塾の男子よ。

ほら、走っておみくじを結びに行ったわ。」


「本当だ。」


笑っちゃいけないけど、笑ってしまった。

とにかく、私達にとっては良い一年の始まりだと思う。




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