第2章 第44話

クリスマスから一週間。

あっと言う間に大晦日!


「ねぇ、何でカフェで年越し蕎麦出してるの?」


「御客様に頼まれてね。

蕎麦がダメな人は年越しケーキがあるよ!」


「年越しケーキ……って、モンブランみたいじゃん!」


「モンブラン、蕎麦っぽいでしょ?」


「あぁ……そうだけど。

蕎麦は家で食べるし、ケーキがいいな。」


私は今日もカフェに来ていた。

ちょっと遅れて秋奈も来た。


「あぁ……今日は凄い寒いわね。」


「あっ、秋奈。

今日は塾は休みだっけ?」


「うん。

三が日も休み。」


「へぇー。

受験生に休みは無いって言わないんだ?」


「先生が休みたいんじゃない?」


「あぁ……そういう事ね?」


「それで、今日は苑香は?」


「デートだって。

明日から軽部先輩が連勤らしい。」


秋奈は苑香に用事があるのかな?


「そうなんだ。

じゃあ、明日でいいかな。」


「え?

急用とかあった?」


「ううん、マカロンの味がどれなのか分からないのよ。」


「え?」


「チョコ味とココア味のどっちか分からないのよ。」


「あぁ……。

二つ並べないと分からないヤツだ。」


「え?」


「ココアが少しだけ色が薄いの。」


「へぇー、そうなのね。」


「それで、初めてのマカロン、どうだった?」


「それが、すごーく美味しかったの。」


「良かったね!」


「うん、買いたいから、今度ちゃんと聞かなくちゃ。」


「明日、会うでしょ?」


「うん。」


秋奈と話していると、胡桃が年越しケーキと年越し蕎麦が運んで来た。


「え?

年越し蕎麦?」


「うん、秋奈が食べたいって。」


「そうなんだ。」


胡桃が忙しそうにしている。


「あれ……。

何、これ?」


ケーキと蕎麦と一緒に小さい紙袋が二つ置かれてた。


「ん?

これが秋奈で、これが私?」


袋に名前が書いてあった。


「あら。

クッキーだわ。」


「これ、苑香が好きな店のクッキーだよ?」


「そうなの?

あっ、手紙付いてるよ!」


二つ共、手紙が入っていた。


「お世話になりました。

来年もよろしく!だって。」


「私のも同じ。」


「明日会うんだから、明日にすれば……。

あぁ……そういう事か。」


「え?」


「年越しクッキーだって。」


「あっ、本当だ。

今日、食べるのは全部年越しって名前かもね?」


「だよね。

あと、私のは学業成就って書いてる。」


「私のは家内安全……。」


「渋いチョイスね?」


私と秋奈が話していると、胡桃が私の隣に座った。


「私のは商売繁盛よ。」


「それも渋い……。」


「それより早く食べて!」


「うん、いただきまーす!」


私も秋奈も慌てて食べ始めた。


「友達と過ごす大晦日なんて初めてだから、変な感じよね。」


「そうなの?

でも楽しいでしょ?」


「うん。

学生生活って、こんなに楽しいのかって思う。」


「でもこれからも楽しもうね。

来年も宜しく。」


「こちらこそ。」


来年……って言っても、明日会うのにね。

でも、本当に皆がいてくれて、今年最後も来年最初も楽しく過ごせるよ。

ありがとう。







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