第2章 第41話
秋祭りも終わって。
残るは……。
「どうしよう……。」
苑香が頭を抱えている。
「どうした?」
「テスト悪かったら、デートはしばらく禁止だって!」
「悪かったら卒業も中止だよ?」
「え?
マジで?」
「マジですよ?!」
「あーん、もうどうしよう?
雪夏、助けて!」
「いやいや、こういう時は秋奈に教えてもらうんでしょ?」
「だって、秋奈、受験勉強じゃん!」
確かに最近の秋奈は塾で忙しい。
「うーん、放課後少しなら時間作るわよ?」
秋奈が話を聞いていた。
「え?
いいの?」
「うん、その変わり、質問はまとめて……。
いや、無理か?」
「無理です。」
「でしょうね……。
いいわ、どうにかするわ。」
「お願いします!」
テスト前の一週間、私達は放課後に学校で勉強会をした。
秋奈は先に帰っちゃうけど。
「はぁ……疲れた。」
テスト前日には、だいぶ色んな事が頭に入ってる気がしていた。
秋奈は自分の勉強用ノートをコピーしてくれたり、一生懸命やってくれた。
―――そして……。
テストの結果は……。
「ごめん、ちょっと手が震えてる。」
そう言いながら苑香が見せてくれたのは、平均点よりちょっとだけ点数が良い解答用紙。
「え?
凄いじゃん!」
「平均点越えたの初めて!」
「え?」
「秋奈様……ありがとうございます!」
「いえいえ、そんな頭を下げないでよ。
良かったじゃん、デート出来るんだし。」
「うん!」
嬉しそうな苑香を見て、秋奈も嬉しそう。
「おかげで私達も助かったね。」
胡桃も嬉しそう。
私も胡桃もいつもより点数が高かった。
秋奈の現代文の解答用紙がチラッと見えて、百点満点だったのはビックリした。
「ねぇねぇ、皆、クリスマスは?」
苑香が嬉しそうに言う。
「うちに来る?
店が忙しくて、外に出られなそうなの。」
胡桃が苦笑いしながら言う。
「夕方からなら行けるわよ?」
秋奈がボソッと呟く。
「私、暇だよ。」
私がそう言うと、皆が笑う。
「えーっ、何で笑うの?」
「だって、一番暇そうじゃん?」
「そうだけどさ。」
そう、一番暇なのは私。
分かってるけど、笑われるとショックだ。
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