第2章 第42話

テストが終わってから、暇過ぎて、カフェに入り浸る。

今日は秋奈も来ている。


「クリスマスも、ここで過ごすんだね。」


「うん。」


「秋奈、何か変わったよね?」


「え?」


「前よりいっぱい話すようになったし、表情が明るくなった。」


「気のせいよ。

でももしそうだとしたら、雪夏達がそばにいてくれたおかげね。」


秋奈が目の前でお茶をすすっている。


「カフェなのにお茶を出してくれるって、本当に変わってるわ。」


「そうそう。

でも特別メニューだよ。」


「そうなの?

でも確かにメニューには無いわね?」


「うん。

秋奈が緑茶好きだから用意してくれたんだよ。」


「そうなのね。

おもてなしされるって、落ち着くわね。」


秋奈が凄く嬉しそうで私も嬉しい。


「今日、苑香は?」


「あぁ、苑香ね、クリスマスはうちらと一緒だから、今日はちょっぴり早いクリスマスデートだって。」


「そう。

あの二人は円満なのね?」


「うん。

軽部先輩は一途なタイプって聞いてるし。」


「そうなんだ。」


私と秋奈が話していると、誰かの気配がする。


「俺がどうしたって?」


「へっ?!」


私の背後に苑香と軽部先輩がいた。


「デートじゃ……。」


「デート中だよ。

苑香ちゃんがここのケーキ食べたいって言うから。」


苑香はこのカフェのズコットが大好きだ。

でもズコットはちょっと高いから、特別な時しか食べない。


「スコップだっけ?」


「ズコット!」


「転んじゃうみたいな名前だな。」


「アハハ!」


苑香と軽部先輩が楽しそうに話していて嬉しい。


「ねぇ、相席でもいい?」


苑香が秋奈に言う。

私は嫌って言わないと思われている。


「いいよ。」


秋奈はちょっと軽部先輩を警戒しているように見える。


「秋奈、緊張してるの?」


「ううん。」


「私、秋奈の隣にしようかな?

軽部先輩は雪夏の隣で!」


勝手に私の隣が軽部先輩って決まった。


「雪夏ちゃん、ごめんね。」


「ううん、知らない人じゃないから大丈夫。」


軽部先輩は申し訳無さそうにしている。


「秋奈って肌がキレイじゃん?」


「え?

何をいきなり……。」


「秋奈みたいな肌が良いって軽部先輩に言ったら、皆それぞれ、そのままで良いじゃん?って言われたの。」


「そうね……それぞれで良いんじゃない?」


ちょっと秋奈が困ってる。


「ほら、苑香ちゃん。

食べたら映画行くんでしょ?」


「あっ、そうだ。」


軽部先輩が話を反らしてくれた。


「お待たせしました。」


胡桃がズコットを運んで来た。


「苑香さぁ、いつもこぼすから気を付けて!」


「分かってるよー!

彼氏の前でそういう事言わないで!」


「それ、彼氏は知ってるでしょうよ。」


「え?」


「前に軽部先輩の前でこぼしてたじゃないの!」


「気を付けるってば!」


苑香が恥ずかしそうにしている。

でも確かに前にズコットを食べてたら、こぼしちゃって叫んでた……。


「もう、皆、注目しない……。

あぁー!

もう、こぼれちゃったじゃん!」


苑香あたふたするのを見て、皆で笑った。











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