第2章 第23話
「はぁ……、夢の中でも勉強してた。」
「私も……。」
苑香と胡桃の顔色が悪い。
「二人共、もう少し寝てたら?
昨日頑張り過ぎたでしょ?」
「でも、少しやらないと。」
「そう?」
「秋奈の兄さん、チェックするよ、きっと。」
「ごめんなさい、兄は進学校の特進クラス教えているから。」
「そうか……。
だから、あんなにレベル高いのか。」
苑香も胡桃もグッタリしすぎて心配。
「でも、兄の指導の成果は出ると思うわよ。
良かったら1ページでもいいから、頑張ってみて。
あとは私から兄に言っておくから。」
「うん……。」
苑香と胡桃が渋々始めた宿題。
「え?
あれ、全部分かるかも?」
「あれれ?
こんなに出来るものなの?」
苑香も胡桃もどんどん解いている。
秋奈の兄は厳しいけど教えるのが上手なのは昔から。
だから、私も教わりたくなる。
「もうそろそろ準備しないと。」
秋奈がそう呟くまで、皆で必死に宿題をしていた。
「はぁ……よく頑張った。
洗面所借りるわ。」
「どうぞどうぞ。」
皆で出かける準備を始めた。
「さて、行こうか。」
皆で家を出る。
「こういう時、浴衣着るのもいいよね?」
「うんうん、可愛いよね。」
「でも、浴衣の着方分からないんだよね。」
「簡単に着れるヤツ売ってるじゃん?」
「あっ、そうか!」
苑香と胡桃が楽しそうに話してる。
「ねぇ、雪夏。」
「ん?」
「私、こんなふうに皆で行くのは初めてだよ。」
「え?」
「雪夏のおかげだね。
ありがとう。」
「ううん、秋奈が友達でいてくれたからだよ。」
私と秋奈は照れくさくてお互いの顔が見れない。
話しながら着いた花火大会の会場。
「雪夏、そっち見ちゃダメ!」
そう言いながら、苑香が私の前に立った。
でも、遅かった。
「見ちゃいました?」
「うん……。」
見てしまった。
佐藤先輩が女性と楽しそうに歩いていた。
「大丈夫?」
「うん……。」
「雪夏、泣いてるじゃん!」
苑香がハンカチを渡してくれた。
「別れなきゃ良かったじゃん。
って、私まで泣けて来た!」
何故か苑香まで泣いている。
わけも分からず二人で泣いた。
胡桃と秋奈は呆れた表情をしながらも黙って見守ってくれた。
「あっ、花火、凄い!」
「本当だ!」
私と苑香はグチャグチャな顔で、でも嬉しそうに花火を見た。
後から、秋奈と胡桃が、
「もう二人の感情の起伏が激しくて、付いていけなかったよ。」
なんて言ってたけど、多分これも良い思い出になると思う。
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