第2章 第22話

「自分の部屋って広いと思ってたけど、四人で寝るとなると狭い気がするわね。」


秋奈が呟く。

今日から二泊三日で秋奈の家でお泊まり会をしている。


「年上の彼っていいよね。」


「いや、まだ付き合って無いってば。」


「私も彼氏欲しいな。」


「だから、ここに居る全員彼氏いないって!」


苑香と胡桃の話が微妙に噛み合っていなくて笑える。

結局、胡桃とヤスダさんは友達から始めるらしい。


「あぁ……私も御客様に惚れられたい!」


「バイトしていないでしょうが!」


「私も御客様の一人で、常連客同士とか!」


「貴女には軽部先輩がいるでしょ?!」


「軽部先輩、夜勤だもん、会えないよ。」


「え?」


「今は夜の配送トラックなんだって。」


「詳しいじゃないの。」


「メッセージ交換はしてるもーん。」


「そうなの?」


苑香と胡桃が盛り上がり始めた。


「ちょっと、二人は宿題どうしたの?」


ちょっと秋奈がイラッとしている。


「あぁ、私はやって来たよ。

だけど、分からない所は秋奈に教えてもらいたい!」


「うん、いいわよ。」


秋奈が胡桃に勉強を教え始める。

私もさっき秋奈に教わって、だいぶ進んだと思う。


「苑香は?」


「完璧!」


「え?」


「補講で宿題やらされた。」


「あぁ……。

そうなんだ、ちゃんと出来たの?」


「出来るまで帰れないから、あまり会えなかったんじゃん?」


「それ、偉そうに言っちゃダメよ?」


「アハハ、ですよねー!」


「笑わないの!

でも自力でやるのもあるんでしょ?

それは?」


「ぜーんぜん。」


「へっ?」


「分からないんだもーん。」


「分からないままにするなら、明日のお祭りは留守番だよ。」


「ヤダヤダ!」


「それなら、すぐにやる!」


「ほーい!」


苑香が渋々宿題を始めた。

私も分かる所は教える。


「そろそろ夕飯よ。」


秋奈が時計を見て言う。

秋奈に案内されて行った居間にはお寿司が並んでいた。


「えぇー、これ、あそこの高級店のお寿司!」


「え?

あっ、本当だ。」


秋奈以外が驚く高級寿司。


「うちは御客様にはこれを出すのよ。

食べた事あるでしょう?」


「あるけど、一番安い巻き寿司だよ。」


「そうなのね?

沢山あるから残さず食べるつもりでどうぞ!」


「わーい!」


皆で寿司をお腹いっぱい食べるのだけど、実はこの後、秋奈のお兄さんのスパルタ授業が待っていた。

そのスパルタのせいで、秋奈以外は疲れきって、すぐに爆睡してしまった……。


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