第2章 第18話

先輩達のおかげで、友人関係は落ち着いた。

そんな平和な夏休み。


「私だけ、暇人みたい……。」


「まぁ……いいんじゃない?

会社に入ったら、こんなに夏休み無いよ?」


胡桃と私は毎日のように一緒にいた。

今日は胡桃の親の経営するカフェに居る。

胡桃がカフェを手伝う日には、私もカフェに行って、少し手伝いをした。

後はショッピングモールやお互いの家に行ったり。

秋奈は塾の夏期講習、苑香は学校の夏期講習で、毎日は来れない。

全員が揃う日は少なかった。


「いらっしゃいませ。」


胡桃が元気良く御客様を出迎える。

私は胡桃がよくいるカウンターに座っている。

カウンターには、あまり御客様は来ない。

でも……。


「隣、いいかしら?」


「どうぞ。」


誰かに声をかけられた。

人見知りな私は相手が誰か見る事もせず、OKしてしまった。


「最近どう?」


「……。」


「雪夏ちゃん!」


「へっ?!」


名前を呼ばれて慌てて見たら、真綾さんだった。


「雪夏ちゃん、お水が好きなの?」


「え?」


「お水ばかり飲んでるから。」


「あぁ……お小遣い少ないんで……。」


「そうなんだ。

じゃあ、お姉さんが何かおごってあげよう!」


「え?」


「ほらほら、遠慮無く!

ちなみにオススメはクリームソーダ!」


「じゃあ、それで……。」


真綾さんにいわれるがまま、私はクリームソーダを御馳走になる。

胡桃が運んでくれたクリームソーダ二つ。

結構大きなグラスに入ってる。


「いただきます……。」


「はい、どうぞ!」


久々のクリームソーダが美味しい!


「ここのクリームソーダって、安くて美味しいのよ。

うちの若い者なんて、外見に似合わず大好きなのよ。」


「若い者……。」


「あっ、うちの事は知らないんだっけ?」


「やんわり聞いてます……。」


「フフッ、やんわりね。

でもハッキリ聞くもんじゃ無いわよね。

知っても気にしない人は少ないもん。」


真綾さんが可愛く笑うから、女の私ですらキュンとした。


「率直に聞いていい?」


「はい。」


「好きな人とどうなったの?」


「え?」


「好きな人がいるから別れたのよね?」


「ゴホッ……す、すみま……ゴホッ……。」


いきなりの質問で、むせてしまった。


「もしかして、フラれた?」


「いや……その……。」


「あれれ?

別れた?」


「うーん……。」


「うーん……って?!」


「いえ、ごめんなさい。

プライベートな事なので、触れないでいただけますか?」


「そうね、ごめんなさい。」


すんなり引き下がってくれて助かった。


「何かもう佐藤君が変だから、気になっちゃって。」


「え?」


「雪夏ちゃんに嫌われてるって落ち込んでるみたい。」


「はい?」


「彼女いるのにね、意味わかんないよね?」


「まぁ……そうですよね。」


この話を聞いた私はどうしたら……。





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