第2章 第17話
私と苑香がファミレスで仲直りした後、軽部先輩が皆に御馳走してくれた。
「軽部先輩、太っ腹だね。」
苑香が軽部先輩の隣に居る。
「一回やってみたかったんだ。
ボーナスで皆に好きなだけ食べろっていうの。」
「でも女子は体型気にしてて、あんまり食べないでしょ。」
「いや、秋奈ちゃんと雪夏ちゃんは結構食べる……。」
「あぁ……二人とも痩せてるのにね。」
軽部先輩と苑香の前に私と秋奈が座っていた。
「痩せてないよ、私は。」
私は幼児体型で、痩せてもいない。
「まぁ……私はいつも痩せているって言われるけど、食べても太らないのよ。
ガリガリ……っていうヤツね。」
秋奈がそう言いながら、ステーキを食べている。
胡桃はどうしたのかと思ったら、真綾さんと佐藤先輩と三人で何か話していた。
気になるけど、見て見ぬふりをした。
「さて、そろそろ帰るか。」
佐藤先輩が時計を気にしているのを、軽部先輩が不思議そうに見てる。
「え?
今日は暇じゃないの?」
「ちょっとね。」
「彼女?」
「うん。」
佐藤先輩が少し恥ずかしそうに話していて、心がざわつく感じがしたけど、知らんぷりした。
「じゃあ、俺は真綾と苑香ちゃんと胡桃ちゃんを送るわ。」
軽部先輩がそう言った。
「気を付けて帰れよ。」
「お前も。」
軽部先輩と佐藤先輩が手を振り合う姿を見てると何故かホッとする。
「雪夏と秋奈ちゃんは俺が送るから。」
佐藤先輩が私にそう言った瞬間に、秋奈の顔色が変わった。
「佐藤先輩、これからデートですよね?」
「そうだけど、まだ時間あるから。」
「私達、寄る所があるんで、送らなくて大丈夫です。」
「え?」
「今日はありがとうございました!
彼女と御幸せに!」
「あぁ……。」
困ったような悲しいような表情の佐藤先輩を置き去りにするように、秋奈は私の腕を掴んで歩き出した。
「秋奈?
どうしたの?」
「どうしたもこうしたも無いわよ。
引きずってるって噂の直後に、彼女をとっかえひっかえだなんて!」
「……。」
「忘れる為にってさ、それって、新しい彼女が本気なら辛いでしょう?
利用されてるみたいな?」
「そうかも……。」
「そうやって本当の事を言わないんだもん、汚いよ。」
「ごめん……。」
「雪夏が謝る事じゃないでしょ?」
「そうだよね。」
秋奈がこんな風に興奮しているのを初めて見た……。
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