第2章 第14話

「あれ、思ったより良いんじゃない、」


秋奈が首を傾げる位、私のテストの点数は良かった。


「適当に答えたのが当たってる……。」


「適当?」


「あみだくじで決めた。」


親から教わった、あみだくじ。


「あみだくじって、阿弥陀如来と関係ある?」


「え?

阿弥陀如来って、どんなヤツ?」


「ほら、鎌倉の大仏様!」


「あぁ……遠足で行った!」


「そうね。」


「それで、大仏がどうしたんだっけ?」


すっかり頭の中は大仏でいっぱいだ。


「あみだくじの由来の話よ!」


「あぁ……。

分からないわ。」


「うん、そう言うと思った。

あみだくじの由来なんてテストに出ないだろうし、調べもしなかったわ。」


「習ったら出るね?」


「そうね。」


あみだくじの話が広がりすぎたような……。


「大仏がどうしたの?」


いつの間にか胡桃が近くにいた。


「大仏が阿弥陀如来って話よ?」


「え?

阿弥陀如来?

大仏って男なのに、そんな可愛い名前?」


「性別ないんじゃない?」


「え?

人間だよね?」


「え?

神様でしょ?」


段々と話がややこしくなる。


「そんな事より、胡桃はテスト平気だったの?」


「うん。

ギリギリセーフ!

でも苑香が追試だって。」


「そうかぁ……。」


秋奈は喜んでいいか悪いか分からなそう。


「苑香は元からギリギリだったのに、色々あったからね。」


「そうなんだ。

教えられる所は教えたいけど、私も避けられてるしなぁ。」


「そうだよね。

でも秋奈とは何も無いのに避けてるんだから、苑香が悪いじゃん?」


「まぁね。

雪夏と仲良いから話しづらいのは分かるけど、避けられるのは気分悪い。」


「そうだよね。

だから放置でいいよ。

謝りなよって言っても返事しないから。」


ちょっと呆れたような表情の胡桃。

秋奈は少し怒ってるかな?

私が謝っても苑香は許さないし、苑香が謝ったら許せるか分からない。

でも、このまま卒業は辛い……。

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