第2章 第13話
まだまだ苑香と話せないまま、学校ではテスト期間に入った。
「はぁ……。
卒業出来れば良いと言ってもね……。」
私のテストの結果は多分酷い。
「とりあえず、1点でも多く取って。」
「うん。」
「私が教えられる事は教えるからさ。」
秋奈が励ましてくれる。
秋奈はきっと高得点なんだろうな。
私にかまう暇なんて無いと思うのに、分からない所は教えてくれる。
「秋奈は大丈夫?」
「平気だよ。
塾も家庭教師もいるし。」
「家庭教師?」
「兄という家庭教師!」
「あぁ、それは心強いね。」
「雪夏も夏休み泊まりに来たら?
家の中なら兄も教えやすいし。」
「泊まったら、勉強しないでしょ?」
「そこはメリハリ付けるわよ。
息抜きも大事だよ。」
「そうか。
じゃあ、宿題持って行くね。」
「うん。」
勉強をするのに行くんだけど、でも楽しみ。
どうせなら、秋奈にも気分転換して欲しい。
「ねぇねぇ、ちょっと秋奈、ここ分からないんだけど。」
胡桃が秋奈に勉強を教わりに来た。
「あぁ……、こういうの胡桃は苦手だよね。
試験の時は後回しにした方がいいね。」
「だよね……。」
「でも今から私が計算してみるから、ちょっと見てて ?」
「うん。」
胡桃は秋奈の隣で真剣に覗き込んでいる。
「え?
何でそうなるの?」
「これは、こうして、こうなるわけで。」
「あぁ……そうか。
そうなるんだ?
はぁ……難しいな。」
「そうなるから楽しいって思えたら良いんだけどね。」
「え?
楽しんでるの?」
「うん、楽しいよ。
答えが出たらスッキリするもん。」
「そうなんだ。
秋奈って不思議。」
「そうかな?」
秋奈は計算が楽しくて仕方ないらしい。
そうなれたらいいのにって思うけど、苦手なままだ。
「苑香は、どうしてる?」
秋奈が胡桃に聞く。
「何かすっかり塞ぎ込んでる。
あんなに雪夏と一緒にいたからさ。」
「でも今回は苑香が謝らないと、元に戻れないでしょ?
雪夏は謝らないよ。」
「だよね。」
私は苑香に謝る気はない。
これだけは譲れない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます