第2章 第11話
苑香と気まずい。
「苑香、ずっと機嫌悪いんだけど。」
胡桃が苦笑している。
「私と、もめたからでしょ?」
「もめた?」
「もう別れたのに、しつこく、それでいいの?って。」
「あぁ……苑香、そういう所あるかも?
別れて辛いし、すぐに忘れられないじゃん?
でも引きずってるの気付くとね……それでいいの?って連呼する感じ?」
「それ!」
「そっかぁ、私だって、今、それ言われたら辛いもんな。
言う優しさも、言わない優しさも、どっちが優しいと感じるか?なんて別だもんね。」
「うん……。」
優しいのは理解してる。
その優しさが辛い。
「今は秋奈が苑香のそばにいるから、うちらはうちらで一緒にいよう?」
「うん……ごめんね。
胡桃だって、大変なのに。」
「ううん、私は好きって気持ちがだいぶ薄れる感じだから、そんなに大変じゃないよ。」
「そうなんだ?」
「うん。
雪夏は?」
「うーん、何か心に蓋をしてるというか、自分の本音が漏れないようにしてるみたいな?」
「あぁ……。
ちょっと分かるかも。
それなのに、蓋をこじ開けるような事をされたんだ?」
「うん……。」
「そうか……。」
「しかも、彼女出来たんだって……って言われた。」
「あぁ……。
雪夏の元彼、イケメンで勉強も運動も出来る人だもんね?」
「勉強も運動も出来ると思うけど、顔は好みじゃないよ?」
「えぇー?!
そうなの?」
驚かれるけど、事実。
私は佐藤先輩の顔を好きっていうより、中身を好きになっただけ。
イケメンって思った事も無い。
「このタイミングで彼女出来たって言われて、あぁ……本当に終わった……って現実見せられて辛い……。」
「私とは別れ方が違うもんね。」
「そうね……。
きっと別の辛さだよ。」
彼氏と別れた私達だけど、別れ方が違うから、全てに共感出来ないかもしれない。
だけど、一部に共感している。
「あぁ……もう何も考えず暮らしたいよ。」
遠い目をしてる私の背中を胡桃は優しく撫でてくれている。
ほっとする。
本当にありがとう。
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