第1章 第19話

うちに一晩泊まった苑香。


「あぁ……すっごい目が腫れてるじゃん。」


「え?」


苑香は目が開いて無いのか?っていう位、泣き腫らしてしまっている。


「どうする?

帰れる?」


「どう思う?」


「家族、ビックリするんじゃない?」


「だよね……。」


「もう一泊したら?」


「いいの?」


「勿論。

おやつ買いに行こう?」


「外に出たくないよ……。」


「眼鏡かけていけば?

度数入ってないヤツあるよ?」


随分前に眼鏡にハマって、度数の入っていない眼鏡は何個か持っている。


「これ、似合う?」


「うん、わりといい。」


「でも腫れてるって分からない?」


「平気平気!」


変装させたような苑香と買い物に行く。

案外目立たず、おやつを買って帰って来れた。


「美味しそう!」


「絶対ウマイよ!」


二人で食べるケーキ。


「はぁ……幸せ!」


「わかる、幸せ!」


私も苑香も笑顔になる。


「はぁ……。

雪夏がいてくれて良かった。」


「そう?」


「うん。

他に泊めてくれる人もいないからさ。」


「そう?

うちは親が友達を呼んだり泊めたり大歓迎なのよ。

親の友達も泊まるし。」


「え?

大人も泊まるの?」


「飲んじゃって、寝ちゃったみたいな?」


「あっ、それか!」


「うん、いつでも来て。」


「ありがとう!」


苑香のホッとしたような表情が見れるのが本当に嬉しい。


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