第1章 第15話
―――卒業式から半月後。
突然、佐藤先輩から電話が来た。
「もしもし、雪夏?」
「うん。」
「もうテスト終わった?」
「うん。」
「大丈夫だったか?」
「平気だよ。」
「そうか……。」
話が続かない。
沈黙している数秒が長く感じる。
「あの……。」
「ん?」
「ごめん……別れたい。」
「何で?」
「好きな人が出来たから。」
「……。
そうなんだ?」
「うん、今までありがとう!」
「こちらこそ……。」
佐藤先輩の『こちらこそ』という声が頭から離れない。
その後の沈黙に耐えられず、電話を切った。
もう……親に頼んで新しいスマホに変えよう。
二度と連絡が取れないように。
「はぁ……。」
好きな人がいるって嘘を吐いた罪悪感と、自分が頑張って聞いたり言ったり出来なかった後悔と。
色んな事が頭を駆け巡って……。
「うわぁーん!」
私はその場で号泣した。
だけど、別れると言えた事については、よく頑張ったと思う。
私は悪くない……なんて言わない。
お互いのせい。
そういう事にしておく。
だから今は新しいスマホをどれにするか考えよう。
ちょうど更新の時期だから、今なら解約金もいらない。
新規で一番安いヤツでもいい。
そうやって関係ない事を考えてたら、いつの間にか涙が止まっていた。
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