第1章 第16話

早速親にスマホを買ってもらう事になった。

たまたま新規で本体無料の機種があって、それにしてもらった。

機種に拘れないのは嫌だけど、今はそんな事を言ってる場合ではない。


「ちょっとぉ、連絡取れなくなってるんだけど。」


不機嫌そうに苑香が話しかけて来る。


「急遽、スマホを解約したので……。」


「え?」


「佐藤先輩と別れたから、もう連絡取れないように。」


「え?

そこまでする?」


「声を聞いたら揺らぐし……。」


「そうかぁ……。」


苑香は納得したような表情をしている。


「でもさ、本当にそれでいいの?」


「え?」


「終わっていいの?」


「うん……。」


納得したように見えるだけで本当は気になって仕方ないみたい……。


「苑香は軽部先輩といつ行くの?」


「春休み。」


「そっか。

楽しんで来てね。」


「勿論。」


本当に軽部先輩と苑香には上手く行って欲しい。

でも軽部先輩は恋愛対象に見ていないし……。

嫌な予感がしないわけでもない。


「それより新しい連絡先教えて?」


「え?

連絡先、メールで送ったよ?」


「え?

マジで?」


「マジだよ。」


苑香はメールを確認する。


「あっ、本当だった。

ごめん、気付かなくて。」


「ううん、別に平気だよ。」


苑香は私の電話番号とメールを自分のスマホに登録する。


「メッセージアプリはまだやってないから、もう少し待ってね。」


「うん。」


「設定面倒でさ……。」


本当に面倒。

それでも変えたかったんだ。


「それで話変わるけど、テストどうだった?」


「まぁまぁ?」


「そうかぁ。」


「雪夏は?」


「良いかも?」


「え?」


久々にスラスラ問題が解けた気がする。

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