第3話 ドラゴンソール

あれから数日が経ち、テジュとアディスは、隣町のフーチュで、自分達が住む家を探し始めていた。テジュは、まだお母さんがいなくなったショックが大きく食事もままならない状況だった。


(何とかしないと、このままだとテジュも餓死してしまう…)


アディスは、この数日間でテジュの身体がどんどん細くなっている事に気づき、とにかく2人で住める場所を探し、テジュが休める事を考え朝から晩まで探していた。


宿屋で働く事を条件に住み込みさせてもらえないか、または、この

「ドラゴンソール」を売って、自分達の家を購入するか。


アディスは、意を決しフーチュで1番の道具屋に向かった。


「いらっしゃい」


ふくよかなおじいさんが1人で経営しているようだ。


「あの、これを売って欲しいんだが」


アディスは、首にかけていたネックレスを外し道具屋のおじいさんに渡した。


「ほぅ。」


おじいさんは、渡されたネックレスをまじまじと見つめた。

大きな赤いクリスタルが光っている。


「これは、たいそうなドラゴンソールだわい。どこでこれを?」


アディスは、少し間を置きおじいさんに伝えた。


「これは師匠から頂いたものだ。形見なんだ。」


「・・・。」

「そうか・・。そいつは悪いことを聞いたな。」


「いいんだ。で、これはいくらで売れるんだ。」


おじいさんは、深くため息をつき、ドラゴンソールをアディスに返した。


「どうした?売ってくれないのか?」

「そいつは、あんたが大切に持っておくべきだ。

あんたに何があったのか知らないが、このドラゴンソールは売らん方がえ。」


ここでアディスはおじいさんに事情を伝え、何とか売ってもらうよう説得した。


「なるほど。おぬしたちは家を探しているんじゃな。」

「・・・。」


「おぬし、ドラゴンソールを持っているという事は、ドラゴンスレイヤーなのかの?」


「いや、師匠はドラゴンスレイヤーだが、俺はドラゴンスレイヤーではない。」

「ほう。なぜ、おぬしはドラゴンスレイヤーにならないのだ?」


「俺は、まだドラゴンスレイヤーになれる器じゃない。まだまだ力が足りない。師匠から受け継いだ力を磨き続けなければ。。。」


「ほう。おぬしの力がまだ足りぬというのじゃな。」


「よし。条件じゃが北西にあるディバラ山脈に向かい、そこを拠点にしているドラゴンを倒してきてほしい。もし、ドラゴンを倒したのであれば、家を用意してやる。」


「えっ、ドラゴンを倒す…。いやいや俺にドラゴンを倒す力はまだ無い。悪いがその条件は飲めない。」


そう言ってアディスは、道具屋から帰ろうとした。


「待て。おぬし、本当にドラゴンを倒せないというのか。本当に。」

「そうだ。師匠にも力及ばず、俺にドラゴンを倒す力はない。俺はまだまだ力不足だ。」


「さては、おぬし、ドラゴンソールを持つ意味を知らないのだな。」

「意味?このドラゴンソールに意味があるのか。」


「そうじゃ。その意味を知らずして、ドラゴンソールを所持しているとは…

身の程をわきまえるのじゃ!!」


じいさんは、アディスに対して叱咤した。

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