暗い部屋で君という明るい照明。

青いバック

第1話 暗い部屋で君という明るい照明

 心の中で渦巻くドス黒い何か。

 これは多分自分に対する、嫌悪感や劣等感だろう。


 そんなドス黒い物が、僕の心を蝕み侵食していく。

 その度僕は、暗い部屋に閉じこもり俗世を切り離して生活をする。


 両親は僕に期待なんかしてないから、どんなに部屋に閉じこもろうと気にしない。


「あんた何か産まなきゃ良かった。 あの子だけでよかったのよ」


 毎回、お兄ちゃんと比較され僕という人格は潰される。

 あの人達は僕を見てくれない。見てるのはお兄ちゃんと比較して出来上がった理想の僕だ。


 そんな理想になれない僕はいらない子だ。


 今日も僕は、パソコンを立ち上げネットの世界に閉じこもっていた。


 僕は、「小説出そう!」で適当に執筆をしている底辺作家の一人だった。

 勿論見てくれる人は少ない。ほぼいないに等しい。


 でも、ある日一通のメッセージが届いた。

 名前は、貴方の心の拠り所に。という名前だった。


 変わった名前をしてるな。


「こんにちわ! とあるカバンさん!」


 とあるカバンとは、僕のペンネームの事だ。

 いつも使っていたカバンを見た時に思い付いたペンネームだ。


「いつも小説見させてもらっています! とあるカバンの世界は何処か暗くて切ない感じですけど、私はそんな世界観が好きです。 最新作楽しみにしてますね!」


 載せている小説は、物語というよりかは自分の気持ちを綴ったポエムに近しいものだったが、そんなものを見てくれる物好きな人もいるんだな。


 初めてメッセージを貰ったけど、心が暖かくなってホワホワする感じがする。

 暗い部屋に、パソコンという光だけが指しているがその光はメッセージが届いた事により一層綺麗に見えた。


 そこから僕は、小説を毎日載せる事にした。

 待ってる人がいるなら、書こうと思ったからだ。


 載せると毎回、貴方の心の拠り所にさんがコメントをくれた。

 そのどれもが、否定的なコメントでは無く僕自身を肯定してくれるようなものばっかりだった。


 産まれてから、僕は否定的な事しか言われてなかった。


 でもネットという一つのコミニュケーションで、僕は自分を照らしてくれる証明を見つけたんだ。

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