第10話

『ねえ、あなた』

『どうした?お前』

『私たちが、こうして時々落ち合っていることは、玲亜は知らないよね?』

『ああ。でもそれでいいだろう』

『どうして?』

『それぞれは、あの子に会ってるし・・・それに・・・』

『それに?』


カトレアさんのご両親は、実業家で海外を飛び回っている。

別の仕事だ。

なので、自宅では顔を会わせる機会は少ない。


だが、海外では出会う事もあるようで、結構恋人気分を満喫しているようだ。

カトレアさんも、女の子の直観で見抜いているだろう・・・


僕も久子さんから、入れ替わるときに聞いた。


カトレアさんは、パパとママとの事を久子さんに訊きたいと言った。

でも、それは違うだろう。


本当の理由は・・・


「これは私の憶測でしかないんだけど」

「何?」

「うちにいるメイドたちの中には、何人か霊がいる気がするの」

「どうして?」

「・・・なんとなくだけど・・・」


正直に言おう。

確かに数人いる。


でも、人畜無害。

ほっておいても、支障はない。


「昔からいるのに、全く歳を取っていないから・・・だね」

「うん。やはり霊媒師だね」


それは、関係ないと思うが・・・


「見つけてどうするの?」

「何もしないよ・・・ただ・・・」

「ただ?」

「これまで通り、他の子と仲良くしてほしい・・・それだけ・・・」


わかったよ。

やってみる。





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