第8話

「仲良くやってるかい?あの二人」

カトレアさんは、首を横に振る。


そういえば、聞いたことがあるな。


カトレアさんのお父さんとお母さんは、実業家でそれぞれに仕事を持っていて、

世界中を飛び回っていると・・・

なので、めったに家には帰って来ない。


顔を会わすのは、数年に一回くらいらしい・・・


カトレアさん自身とは、別には会っているようだが・・・


「パパと、ママ・・・大丈夫かな」

「何がだい?」

「こんなに会っていないと、離婚なんてことに・・・」


久子さんは、(僕の体を使って)カトレアさんの頭を撫でる。


「大丈夫だよ。あのふたりなら」

「どうして?」

「私とおじいちゃんが、何の意味もなしにあのふたりを結婚させたと思うかい?」

「政略じゃないの?」

「まさか。あのふたりは心底愛し合っているよ」

「なんで、わかるの?」

「私は、霊だからね。どこへも行ける・・・」

「おばあちゃん?」


久子さんは、カトレアさんの頭を撫でる。


「じゃあ、私は行くね」

「もう?」

「うん。会いたくなったら、また彼を使いなさい」


僕の事だな。

拒否権はないようだ。


「おじいちゃんに、よろしくね、おばあちゃん」

「ああ。伝えておくよ」


その瞬間に、僕の魂は器に戻る。


「お帰り。りんちゃん」

「ただいま。カトレアさん」


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