第5話

「純和風」

それが、第一声だった。


先程のまでの、洋風丸出しではなく、完全なる和風。


「驚いた?」

「ああ」


カトレアさんが言う。

本当にそうだ。


「見かけは洋風、中身は和風。近所はアンパンマン屋敷と呼んでいるよ」

褒めているのか、けなしているのか・・・


「りんりゃん、こっちだよ」

「うん」

カトレアさんに案内される。


「ところでカトレアさん」

「何?」

「あのメイドさんたちは?」

「あのままだよ。着替えるの面倒だし・・・」

確かに・・・


そして、ある一室に通される。

そこは、畳が敷かれている。


かなり、古ぼけているな。

今は使われていないみたいだ。


「リンちゃん、少し待っててね」

「どのくらい?」

「10分ほど」

「了解。休ませてもらうよ」

「メイドが和菓子と抹茶を持ってくるからね」


その言葉を聞いて、僕は返す。


「後でいいよ」

「・・・そう?」

「そのために、僕を呼んだんだろ?」


カトレアさんは、頭をかく。


「やはり、ばれてたね」


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