第6話 しつけって大変!

 人間の子どもって、体ばかり大きくなって、なかなか成長しないじゃない?


 だから、しつけには苦労させられるわ。


 


 この家にはアオとユウそれにハナの三人の人間の子どもがいるの。


 アオはあれるぎーとやらで、わたしにはあまり近寄らないわ。でも、わたしが戸の外側にいるのが分かると、すぐに戸を開けてくれるの。あまり、騒がしくないのも好感が持てるところね。



 ユウはわたしに興味深々、気安く触ろうとするから、ちょっとしつけが必要ね。

 

 もちろん、わたしだって心得ているわ。


 体はわたしより大きくなってもずっとずっと幼い子だってこと!


 だから、気安く触ろうとしたら、ねこパンチの真似だけしてみせるの。


 ええ、爪なんて出したりしないわ。


 幼い子のしつけですもの。


 自分より、か弱い者に優しく接するのもりっぱなレディの姿よね。

 


 なのに、ユウときたら、わたしを怖がって、同じ部屋にいられないの。

 わたしがユウのいる部屋に入ると、ユウは泣きだして部屋の外へ出てしまったわ。


 何度も言うけど、わたし、りっぱなレディなの。体だけ大きな幼い子に爪を出すようなことはしないし、ねこパンチだって、ふりだけで、当ててもないのよ。


 それなのに、ユウには二ヶ月ほど泣きながら避けられたわ。


 失礼しちゃう。わたしは愛らしく、気品のあるレディなの!!


 あんまりな怖がりかたじゃなくて?



 

 気を取り直して、最後の子を紹介するわね。ハナよ。この子は他の子に比べるとずいぶんとゆっくり大きくなるみたい。


 でもでも、とにかくわんぱな子なの。


 しつけにとても苦労するわ。


 わたしにとても興味深々だし、なんでもしたがるの。


 わたしのごはんをばら撒かれたり、お水を持ってきてくれたんだけど、お皿は置いてくれないと飲みにくし、お皿のお水がこぼれてなくなっちゃうし……


 お皿いっぱいにごはんをつけてくれたのは嬉しいけど、お水のお皿にごはんは入れて欲しくないわ。


 それに、わたしをとにかく撫でようとするの。


 わたし、りっぱなレディなの。


 わたしを撫でていいのは、わたしが撫でで欲しい時だけなのよ。


 幼い子は論外なの!


 力任せじゃダメなのよ!!


 ユウのことがあるから、わたしもなるべく穏やかに諭すようにしてるわ。


 でも効かないのよねー。ねこパンチのふりもダメ。


 優しくねこパンチもダメ!



「シャーー!!!!(ごはん中にしっぽを掴まないで!!!!)」




 幼い子のしつけって、ホントに大変!

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