第2話 わたしの家族

 わたしの家族はお母さんとお姉ちゃんよ。

他にもいるけど、この二人さえいれば後は覚えなくてもいいわ。


 わたしをすごく可愛がってくれるお父さんもいたけど、ある日、帰ってこなくなったの。

 あんなに痩せて、歩くのにもふらふらするようになってしまってたのに、どこに行ったのかしら。

 せっかくの新しい家にもわたしとお母さんだけ。


 でも、淋しくはないわ。

 もとの家にも出入りは自由だもの。わたしに開けられない戸はないの。いつだってちゃんと玄関を開けて入るわ。


 閉める?


 なにそれ、わたしが開けたら、閉めるのは他の人の仕事よ。


 でも最近は戸を開けるのもだんだん億劫になってきたわ。


 だから、戸の前で待つの。

 

 誰かが気づいて開けてくれるわ。もちろんわたしが通った後は閉めるのも忘れない。


 コレが自動ドアというものね。


 なかなか気づいてくれない時には一声呼びかければいいのよ。


「にゃぁ(わたしよ!)」


「ポンだ!」


 ね! すぐに開けてくれるわ。

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