第4章Re:Re:Re:Re:
第32話Re:Re:Re:Re:
夫とは同じ系列の会社で出会った。
たまたま共同事業をすることとなり、お互い新入社員として上司に同行していた。
「初めまして、早見とお申します。」
「わたくし、荒木と申します。頂戴いたします。」
見た目が爽やかだった。それでいてまだあどけなさもあった。
プレゼンもスムーズだし、なにより言葉選びが素敵だった。
こういう人と結婚したら幸せになれるのだろう。
初めて出会ったときにそう感じた。
わたしにはその時付き合っている彼氏がいた。
15歳年上だった。
結婚してほしいと言われていたが、将来のことや、子供のことを考えると踏み切れずにいた。
だから、より一層輝いて見えたのだろう。
そしてこんな素敵な人にはきっと彼女さんもいる。
その時はそんな風に思い、自分の中で解決していた。
ふと、相手方の上司が言った。
「あ、そうだ。今度親睦会でもしましょう」
何度か打ち合わせをしているうちにそんな話が出た。
確かに、打ち合わせはいつもスムーズだし、相手先の上司も含めて話の相性、時々脱線する話、全てにおいてバランスが良かった。
「お!いいですね!みんなお酒好きですし、飲みに行きましょう」
「是非、ご一緒させてください」
わたしは上司に続いた。
「じゃあ、早見。場所頼んだぞ」
「承知いたしました。」
「あ、私も一緒に探します」
ふと、言葉を発していた。
「荒木さん、ありがとうございます」
「あ、傘」
打ち合わせがおわり、1人で資料を片付けてたらドアの前に置き忘れてた傘があった。
そとはかなりの雨だった。
「あ!ごめんなさい。傘をわすれてしまいました」
早見さんが戻ってきた。
「これですよね?どうぞ」
「ありがとうございます。」
「お疲れ様です。」
「あ、あの!」
「はい?」
「ご飯探すの、俺1人でも大丈夫ですよ!お忙しいと思いますし・・・」
「いや、でも新人の役目なので一緒に探しましょう」
正直プレッシャーだったのだろう。
少し安堵した表情をうかべた。
「ありがとうございます。そしたらあの・・・よかったらLINE交換しませんか?」
「え?あ、はい。」
私たちはLINEを交換した。
とんとん拍子にことがすすんだ。
お互いの趣味が映画鑑賞で意気投合したわたし達は、会社以外の場所で会うことが多くなった。
彼氏がいることを伝えてはいたが、アプローチを受け続けた。
それから私は彼氏と別れ、夫と付き合うことを選択した。
順調だった。
お互いの趣味も、ワークバランスも、両親との関係も、なにもかも順調であった。
1通のLINEがくるまでは。
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