第31話依存


 


「ねえ、周平」



「なんですか?」



「この間のライブの時にね、ゆいかちゃんが向井に言い寄られてたの知ってる?」



「いや・・・知らないっす」



「私が助けたんだけど意外と本人満更でもなさそうだったよ」



「は・・・?」



「わたしの見間違いかもしれないけど♪」



れなは周平の肩をポンと叩いて部室から出て行った。











「ゆいかこの間はごめんな」




「いいのいいの!私の方こそごめんね」




「彼氏さん怒ってたよねー・・・まじ申し訳ない」




「大丈夫!ちゃんと仲直りしたから」



嘘だった。仲直りはしていない。



あれから1週間、特に連絡も取り合っていなかった。






わたしから連絡しないとか・・・




恐る恐る携帯をとる。




周平の携帯に電話をかけたがでなかった。
















翌日の夕方周平から電話かかってきた。




「もしもし・・・?」




「もしもし」




「あ・・・周平この間はごめんなさい」




「・・・」




「今日、会えたりする?」




「・・・うん」




「周平の方行くね・・・」





電話を切り、わたしは周平の最寄駅に向かう電車に乗った。

















駅につくと、周平がまっていた。




「周平・・・迎えきてくれたの?」



「・・・うん」



「ありがとう」










静かに歩いてると、周平が口を開いた。




「・・・あのさ、なんで向井さんのこと言わなかったの?」




「え・・・?」




今更なんで?



頭の中が追いつかなかった。




「言い寄られてたんだろ?ライブの時」




冷たい目線で私を見る。




「周平は、この先も向井さんと関わり合うからわたしが我慢すればいいだけの話でしょ」




「満更でもなかったりして」




あぁ、わかった。れな先輩だ。




助けておいて、そういう風にいったのだろう。




私は無性に悲しくなった。




「・・・周平は本気でそう思ってるの?」



「・・・」



「私は断ったよ?そこをれな先輩が助けてくれた」



「・・・」



「だれに何を聞いたかわかんないけど、私のこと信じられないならもういいよ」




「ゆいか・・・」




「バイバイ」




私は来た道の方向に向かって歩き出した。



すぐに腕を引っ張られた。



「ゆいかっ!」



「やめて・・・痛いよ」



「・・・」



周平は無言でわたしの手を引っ張った。



「周平!痛いよ!」



「静かにして」



無理矢理腕を引っ張られ、周平の家に連れて来られた。



「・・・なに」



「俺だけのゆいかだろ」



「・・・」




周平は私を引き寄せた。




「わたしは・・・周平だけのものだよ」



抱きしめられる力がより一層つよくなった。





周平もまた私に対して「依存」していたのだろう。




お互いに依存しあってる時はいいが、片方が崩れた時に、その関係性は脆く、






そして儚い。








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