第29話自愛




「向井〜なに人の彼女にちょっかいかけてんだよ」




「あまりにもゆいかちゃんがタイプで」




「ゆいかちゃん、あっちいこう」





私はれな先輩に手を引っ張られ前の方に向かった。




「すみません、助けていただきありがとうございました」




「もっとちゃんと断らないと。」




「すみません・・・」




「気をつけなよ」




れな先輩はさっさとその場を離れていった。




助けてくれたのはありがたかったけど。




この感じはなんだろう。モヤモヤが止まらなかった。












ライブが終わって打ち上げに誘われた。




私は正直つかれはてていた。




きっと向井さんもれな先輩も行くのだろう。




「周平、いってきていいよ。わたし帰れるから」




「え?いかないの?」




「明日の課題思い出しちゃった。さき帰るね」




「・・・ちょっと待ってて」





周平はサークルの人達のところに行って、話をしていた。




しばらくすると、戻ってきた。




「ゆいか、帰ろう」




「え?行かなくていいの?」




「うん、行かないって言ってきた」




周平はわたしの手を引っ張って、駅まで向かった。




「今日たのしかった?」




正直いろんなことが起こりすぎてライブどころではなかった。




「うん!楽しかったよ!ありがとう」




向井さんのこと、それとれな先輩のことも言わない方がいいよね?




周平はこの人達と関わり合うわけだし・・・




私は、自分の気持ちにそっと蓋をした。















久しぶりにみきとまゆに会うことになった。




「会いたすぎたよ〜ふたりとも」




渋谷のご飯屋さんにはいり、早速恋愛の話になった。




「ゆうきと別れたの?!」




「うん実はね・・・もう向こう勉強ばっかでさ」




「ゆうきらしいっちゃゆうきらしいね」




「まあ、でも友達の延長戦みたいな感じだったからさ!普通に接することができるからまたみんなで遊ぼう」




「そうだね!さとしの受験おわったらあそびいこう!」




「ゆいかは周平くんと順調??」




「まあいまはそれなりに順調・・・かな?」




「なによその意味深な感じ」




わたしは距離をおいたことや、ライブでの出来事の話をした。




「なにそれ、れな先輩ってひとちょっと怖いね」




「周平くんのこと気になってるんじゃないの?」




「うーんわたしも若干思ったけど助けてくれたし、一応」




「周平くんにちゃんと言った方がいいんじゃない?」




「でも向こうはこれからも関わっていく人だし・・・」




「言いづらいか・・・」




「うん・・・」




なんだか辛気臭い雰囲気になってしまった。




慌ててその雰囲気を払拭した。




「みきは?彼氏さんとどうなの??」




「みきも最近別れたー!」




「え?!」




「なんか束縛めっちゃきつくてみきも束縛してやろーと思って携帯見たら浮気してたんだよあいつ」




「まじ?」




「でも、もうイケメンみつけたから全然へいき!」




「さすが、みきらしい!よかった。」




「結局自分がやましいことあったからわたしのこと束縛してたんだなって」




「人間なんて自分のことしか考えてないからねー自分は浮気してても相手がしてたら許せないってね」




「そうなのそうなのー!!別れて正解だったわ」




会話が大人になったなあって思いながら、久しぶりのみきとまゆとの時間が過ぎていった。




そんな風に考えていた私は、呑気だった。






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