第25話距離




周平は引っ越した。




わたしはそのお手伝いにきていた。




「全身鏡は欲しいよなー」




周平の家は本当になにもなく、冷蔵庫、テーブル、テレビ、布団しかなかった。




近くのドンキホーテに買いにきた。




「これとかいいんじゃない??」




まるで新婚気分のようだった。




「あーこれいいじゃん、値段も安いし」




重い全身鏡をふたりでひいひい言いながら運んだ。




「わー重かった」



「疲れたな〜ちょっと休憩」




敷きっぱなしの布団に周平が寝っ転がった。




「ゆいか、こっち来て」




わたしは隣に寝っ転がった。




抱き寄せられて、キスをしてきた。




そして耳元でささやかれる。




「ねえ、したいよ」




「・・・いいよ」














「今日泊まっていきなよ」



「今日?いきなりは無理だよ・・・」



「なんでよ」




周平がむっとした顔になった。



「この間オールしたのに?いきなりは無理なの?」




むしろこの間初めてオールしたことによって厳しくなってしまった。




「ごめん今日は帰る」




「・・・わかった、駅まで送る」










帰り道ほとんど話さなかった。




周平の怒っている様子がひしひしと伝わってきた。





「ごめんね」




「・・・あのさ、距離置かない?」





それも、唐突だった。




「・・・なんで・・・?」



心臓の音が、うるさい。



何が起こってるかよくわからなかった。




「ゆいかといるの・・・ちょっと距離置きたい」




「わたしが今日泊まれないから・・・?」




「いや、そう言う訳じゃないけど・・・最近ちょっとしたことで喧嘩するじゃん」




それはその通りだった。




でも、いつも仲直りしてきたじゃん。




そんな言葉ものみこんだ。




「・・・わかった」


















送ってくれていた周平に1人で帰れるといって別れた。



周平からそんな風に言われたのは初めてだった。




周平も我慢いろいろしてたんだろうな・・・




涙をこらえて電車にかけのった。




もうすぐ、長かった大学の夏休みも終わる---















周平と距離を置いて1週間後、夏休みが明けた。




「距離おいた?!」




「うん・・・」




夏休み明けの学食、かほとえまとごはんをたべていた。




「なんでそんなことになっちゃってんのよ」




「わからない・・・わからなくはないけど」




「もうゆいか辛かったでしょ?すぐ連絡してよ〜とんでいくのに」




「そうだよわたしえまとゆいかと遊ぶ以外はバイトしっぱなしだったんだから」





そんなかほとえまの優しさが嬉しかった。




「ゆいかはどうしたいの?」




「わからない・・・このまま別れても仕方ないかなーって」




「ゆいか・・・」




「あのさ、ちょっと気分転換にわたしのサークル来てみない?」




「サークル?」




サークルが原因の喧嘩がおおかった。




よく訳のわからないサークルで朝まで男女で騒ぎ通して。




いいイメージがない。




そんなサークルに?




「・・・いってみようかな」










知ろうとしなかった世界。




わたしは足を踏み入れることにした。





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