第26話新鮮
金曜日の夕方、わたしはえまとサークルに行くことにした。
「まだね、新しめのサークルだから私の代と一個上の代の先輩たちしかいないの」
「へえ、そうなんだ」
「みんな優しいから、きっとゆいかもすぐ仲良くなれると思うよ」
人見知りの私は大丈夫だろうか。
チャラい人とかいたらどうしよう。
不安は尽きなかった。
でも、知らないサークルの世界に飛び込めば、わたしも少し変われるかな・・・
コートにはいると、想像を超えるぐらいみんな真面目にテニスをやっていた。
「ねえ、えま!わたし全然やったことないよ?」
「大丈夫、大丈夫。あ、さえこさーーん!」
さえこさんとよばれるひとが振り返り、こちらにむかって小走りで駆け寄ってきた。
「わ〜えま!あ、この子がゆいかちゃん??」
「そうです!同じ中高大のゆいかです」
「ゆいかです。宜しくお願いします。」
「さえこです!よろしくね!会長やってます」
サークルの会長をやってるさえこさんは、一つ上の代で笑うとえくぼが可愛らしい。
女子大にかよってる先輩だった。
「わたしも初心者なの!だからこっちのチームで一緒にやろう♪」
「え!あ、はい!」
初心者と経験者で分かれていて、さえこさんが丁寧に教えてくれた。
これが、サークル?
かなり意外であった。
わたしは「えまの友達のゆいか」として、みんなが話しかけてくれた。
同い年の子達も何人かいた。
「ゆいかちゃん!おれケイサク!よろしく!」
「こらーケイサク早速ゆいかちゃん狙うんじゃないよ」
「おい俺をチャラ男に仕立て上げんな!」
みんながどっとわらった。
新鮮だった。
そういえば、ずっと女子校だったからこんなに男の子たちがいる集団にいるのは小学生以来だ。
わたしの記憶だと男子と女子は一緒に遊んでも結局分裂してそれぞれで盛り上がる記憶で止まっていた。
でもここではみんな関係なく仲良く話している。
「ゆいか、どうだった?たのしかった??」
「うん、たのしかったよ!連れてきてくれてありがとう」
「よかった」
えまがほっとした顔で微笑んだ。
「このあとアフターいくんだけど、えまとゆいかちゃんもいく??」
「いくいく!ゆいかも一緒にいこう!!」
「え!う、うん!」
飲み会とかになるのかな。
みんなでぞろぞろと向かった。
「では、おつかれさまでーす!!!」
「かんぱーーーーい!!!!」
行き先は、鍋食べ放題のお店だった。
わたしの思い描いていたサークルと全然違う。
わたしの目の前には2年生の男の先輩たちが座った。
「さっきあんまり話せなかったけど、2年の海斗です。幹事長やってます」
「ゆいかです。よろしくお願いします」
「おれはりょうたっていうんや!よろしくな」
「宜しくお願いします」
「えまの友達なんやて?中高大一緒てすごいなあ」
「そうなんですよー!でも中高のときは全く喋ってなくて---」
幹事長とりょうたさんと中高のときの話で盛り上がった。
そのあともいろんな人達がわたしに話しかけてくれて、きっちり終電には解散した。
サークルって、楽しいかも。
私の概念を覆した日となった。
そんな風に楽しんでいる間、一件の着信が来ていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます